『ジョン・ウィック:コンセクエンス』でキアヌの旧友役に大抜擢!ハリウッドアクションに欠かせない真田広之、激しくて華麗な闘いの歴史
サムライ・スピリットの持ち主としてハリウッドでの地位を築く
ヒュー・ジャックマン主演の『ウルヴァリン:SAMURAI』(13)では、ブラックな会社経営者で剣の達人である矢志田信玄役。鎧をまとい二刀流で合金の爪を持つウルヴァリンと激しいバトルを繰り広げた。忠臣蔵をベースにしたアクションファンタジー『47 RONIN』(13)では君主を失い浪人になった侍をまとめる大石内蔵助役。確執のあったキアヌ・リーブス演じるカイと剣を交えるシーンでは、ラフスタイルで押しまくるカイを正攻法で受け止める緊迫した殺陣を見せつけた。
久しぶりに忍者アクションを見せつけたのは『モータルコンバット』(21)で、物語の原点である江戸初期シーンに伝説の忍者ハサシ・ハンゾウ役で登場。中国の忍者軍団を相手に死闘を演じ、クライマックスにもアクションで見せ場を作った。『ブレット・トレイン』では、家族思いの元やくざエルダー役。仕込み刀を手に狭い新幹線車内で緊迫感あるバトルを見せたほか、宿敵と運命的な出会いを遂げるドラマチックな展開でクライマックスを独占。監督が『ウルヴァリン:SAMURAI』でアクションコーディネーターを手がけたデヴィッド・リーチだけに、真田を活かした見せ場作りが嬉しい。またキーパーソンを演じた作品だけでなく、ゲスト枠の『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)でもホークアイ(ローニン)との長い死闘をワンカットで演じ存在感を発揮。設定やキャラクターはそれぞれだが、画面に出てくるだけで凛とした空気が張り詰めるサムライ・スピリットの持ち主としてハリウッドでの地位を築いた。
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』ではドニー・イェンと壮絶な死闘を演じた真田の最新作が、2023年放映予定のドラマシリーズ「Shogun(原題)」である。三浦安針をモデルに、日本に漂着した英国人を描いたアメリカのミニシリーズ「将軍 SHOGUN」(80)のリメイクで、真田の役は徳川家康をモデルにした将軍、吉井虎長。オリジナル版で三船敏郎が演じた役で、欧米人にとって真田はそのポジションということだ。この作品で真田は出演だけでなく共同プロデューサーにも名を連ねている。かねてから日本人の美学や精神を海外に伝えていきたいと口にしてきた彼にとって「Shogun」は次へのステップになりそうだ。さらなる飛躍を予感させる真田広之から、ますます目がはなせない。
文/神武団四郎