“映画監督"YOSHIKIが語る、「UNDER THE SKY」に込めた意味と亡きメンバーたちの遺志「やはり僕の原点はX JAPAN」
「これって現実っぽくない。映画のなかにいるみたいだと感じることがよくあるんです」
――作品の終盤で、世界中のファンと「ENDLESS RAIN」を合唱するシーンがハイライトの一つとなっていました。この楽曲を選ばれた理由は?
「この楽曲は僕が最初に作ったバラード曲です。悲しみや憎しみを全部洗い流してくれという歌詞の通り、いまの世の中の状況に当てはまるのではないかと選びました。曲の中で“心の傷に”と言っていますが、それを皆さんの愛の連鎖、愛の雨で満たしてほしい。そう思ってファンの皆様にSNSで募り、集まった数千の歌声を編集させていただきました。
当時この曲を書いた時に、自分がそこまで深く考えていたのか、正直そこまではわかりません。ですが僕自身、子どもの頃に父が自ら命を絶ってしまったことで、僕の作る曲のなかにはいつも傷のようなものが入っています。それを背負ってでも前に向かって生きていこう。そういうポジティブなメッセージがこの曲には込められています。だからこそ、いつも大事な節目でこの曲を歌ってきました。この作品ではたくさんの世界的なアーティストの方々とコラボをしていますが、一番の核となるのはやはりファンの皆さんとのコラボだったのです」
――これまで様々な映画に楽曲で携わってきたYOSHIKIさんが、普段どのような映画を観られているのか。また、映画からクリエイティブ面でインスパイアを受けることがあるのか気になります。
「やはり30年くらいハリウッドに住んでいて、友人の半分は映画関係者ですから、映画ととても近いところにいます。普段からNetflixやディズニープラスで様々な作品を観たり、移動で飛行機に乗れば必ずなにか映画を観ますし、もちろん映画館にもよく行きます。LAではドルビー・シアターやチャイニーズ・シアターが好きですし、日本でもTOHOシネマズ 六本木ヒルズの大スクリーンは、この映画を観るうえですばらしい環境だと思います。
映画はある種、僕らの日常と非現実との境目というか、こうなりたいという夢に近いものがあると感じていて、インスパイアを受けることはよくあります。自分にとってとても大きな存在です。音楽を作る時も、「この音楽はいまの普通の人生のテーマ曲なのか?」それとも「自分が夢見ているスーパーヒーローになった時のテーマ曲なのか?」などと考えることもありますね。それに、朝目覚めた時、これは本当に自分に起こっていることなのか、もしかしたらどこかで目覚めるような夢を見ているんじゃないかという気持ちになってしまうこともあります。楽しいことも苦しいことも悲しいことも含めて、これって現実っぽくない。映画のなかにいるみたいだと感じることがよくあるんです」
「やはり僕の原点はX JAPAN」
――最後に、作品のなかで「HIDEさんやTAIJIさんの遺志を全世界に届けることが使命」とお話しされていました。YOSHIKIさんとして、X JAPANとして、今後の活動の展望を教えてください。
「いま僕はTHE LAST ROCKSTARSとして、HYDEやSUGIZO、MIYAVIというすばらしいアーティストたちと活動をしています。これはX JAPANに関してもそうなのですが、日本では幸いなことに多くのファンの方が僕らを知ってくれているけれど、世界的に見るとまだまだだと感じています。僕自身が積極的に活動していくことによって、X JAPANも知ってもらえるし、THE LAST ROCKSTARSも知ってもらえる。そうすれば、HIDEやTAIJIといったすばらしいメンバーがいたことも知ってもらえる。それが自分にできることの一つなのではないかと感じています。
そして、どこまで活動を続けられるのかはまだわかりませんが、やはり僕の原点はX JAPANです。支えてくれるファンの方々がいたから、いまもこうして活動できている。だからどんどん前に進み、僕が誇るファンの凄さを世界中に知ってもらえたらと心から願っています」
取材・文/久保田 和馬
<日程>
・東京ガーデンシアター(日本):10月7日(土)、8日(日)、9日(月・祝)
・ロンドン・ロイヤルアルバートホール(英国):10月13日(金)
・ロサンゼルス・ドルビーシアター(米国):10月20日(金)
・ニューヨーク・カーネギーホール(米国):10月28日(土)
<日程>
・日本公演チケット 一般先着 発売中(国内&海外)
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※詳細は公演概要をご確認ください。
https://jp.yoshiki.net/info/3708/ (日本語)
https://www.yoshiki.net/worldtour2023 (英語)