石井裕也監督、石川慶監督らが「PFFアワード」受賞者にエール!「自分が面白いと思う感性を信じて」

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石井裕也監督、石川慶監督らが「PFFアワード」受賞者にエール!「自分が面白いと思う感性を信じて」

石井裕也監督「これからの時代は小さな個の叫びは、重要で価値があること」

準グランプリは高田恭輔監督の『ふれる』が受賞。プレゼンターの國實は「ある程度人生経験を重ねた方が監督だと思いましたが、経歴を見て21歳だと知りとても驚きました。個人的には準グランプリというよりも監督賞という気持ちです」と高田監督の手腕に注目していると話し、「人間の機微を大事にして、私たちの琴線に触れるような作品を作り続けてください」とエール。國實の言葉に「褒めすぎだと思います」と反応した高田監督は、コロナ禍でひとりの寂しさ、辛さ、孤独さを痛感したと話し、「ひとりじゃないということを伝えるために映画を作り続けたいです!」と意気込みを見せていた。

「スピーチも撮影期間も長い!」とのクレーム?に会場は大爆笑
「スピーチも撮影期間も長い!」とのクレーム?に会場は大爆笑

グランプリに輝いたのは中野晃太監督の『リテイク』。「映画との戯れ方が面白かったです」と感想を伝えた石井監督は「プロが狙ってもできないバランスを実現した奇跡の自主映画です」と絶賛。制作を振り返り、支えてくれた人たちに感謝の気持ちを丁寧に伝えたため、中野監督のスピーチは少々長めに。壇上に招かれた本作の出演者からも「映画のタイトル通りリテイクは多いし、話も撮影期間もとにかく全部が長いんです」と苦笑い。撮影中はこんなに時間をかけたなら賞を獲らなければ許せないと思っていたそうだが、「グランプリを受賞したので、全部許します!」とジョークを飛ばし、笑いを誘う場面もあった。

最終審査員を務めたプロデューサーの國寶瑞惠
最終審査員を務めたプロデューサーの國寶瑞惠

「PFFアワード 2023」の最終審査を振り返り、自身も自主制作映画の撮影経験があるという五月女は「久しぶりに自主映画を観ました。変わったことも変わらないこともあって面白かったです。みなさんのやりたいことが伝わってきたし、どれも光る部分がありました。いろいろなジャンルの光を感じました」と伝えた。石川監督は受賞作以外への感想を丁寧に話し、「映画は観てもらうことが大切だけど、観てもらうことにより見知らぬ人から心ないことを言われることもあります。ときには『ふざけるな』と感じるようなことも言われるけれど、それだけ作品に入り込んでくれた証拠だと思います。観てもらって強くなる、鉄を鍛えるように、どんどん(映画を)作って、どんどん(人に)見せていってほしいです!」と呼びかけた。

石川監督お気に入りの1本だったそう
石川監督お気に入りの1本だったそう

自主制作というジャンルを初めて知ったという岸田は「自主映画と気づかずに映画を観ていたことを知りました。次の作品を観たいではなく、監督ならどう撮るのかが観たいという気持ちになりました。映画を(一緒に)作りたいという思いを刺激されました」と、審査が自身に与えた影響を明かした。「自主制作映画は好きなタイプの映画ではなかった」とコメントした國實は「いろいろなことを教えてもらいました。私は間違っていたと分かりました」と苦笑い。続けて「勉強させていただいたし、たくさん見直していきたいと思っています」と微笑み、「頑張って作り続けてください!」と受賞者たちの今後の活躍に期待を込めていた。


「副賞はみんなで分けます」と笑顔いっぱいでフォトセッションに応じた
「副賞はみんなで分けます」と笑顔いっぱいでフォトセッションに応じた

石井監督は「大学の卒業制作を作るときに、学生時代の先生で先日亡くなった中島貞夫監督に言われた言葉があります。それは卒業制作は世界に対する最初の所信表明だと。その言葉を聞いたとき、20歳の僕は武者震いがしました。世界に向かって叫ぶのは無謀で重い行為だけど、誰にも理解されなくても存在する映画もあるべきだと思います。自分が面白いと思う感性を信じて、叫び続けていれば通じるはず。特に、これからの時代は小さな個の叫びは、重要で価値があることだと思います」とのメッセージを参加者に贈り、表彰式を締めくくった。

取材・文/ タナカシノブ

※高田恭輔の「高」は「はしごだか」が正式表記

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