濃密なノワール「最悪の悪」チ・チャンウク×ウィ・ハジュン×イム・セミが語る、エモーショナルなアクションとチームワーク
「ギチョルの深みのある目線が印象に残っています」(イム・セミ)
――皆さん気持ちのこもった作品なので難しいかもしれませんが、自分以外のキャラクターのお気に入りシーンを、それぞれ教えてください。
ウィ・ハジュン「(悩むようにため息をついて)すごくたくさんあるんですが…」
チ・チャンウク「私は第1話で、ギチョルが釜山にいる麻薬カルテルのボスに取引を持ち掛けるシーンが好きですね。気迫がこもっていて野心がすごくよく表現された場面でした。ウィジョンだと、捜査本部がジュンモに危険な任務を負わせたことを彼女が知るシーンです。ウィジョンが自分の意見を主張する場面ですが、彼女の苦しい気持ちと、今まで抑えてきた感情がよく表現されていて、忘れられないですね」。
ウィ・ハジュン「編集でカットされてしまいましたが、チ・チャンウク兄さんの場合はジュンモが警察官として犯人を検挙するシーンです。ジュンモという人物を一言で言い表せるような瞬間で、その場面は“ジュンモはこういう刑事で、こういう人間なんだな”と強く印象に残っています。セミ姉さんだと、ジュンモの妻としていつも夫を心配している1人の女性としてのウィジョンの姿ですね。次第に夫が危機に陥っていくことで、私が行動しようという固い意志を露わにして感情を爆発させるシーンがあります。警察官として、そして妻としてという2つの感情が一番よく見えたシーンでした」
イム・セミ「選べないくらい多いですね…。ネタバレになってしまうのであまり話せませんが、終盤に本当に胸が締め付けられるようなシーンがあって、なんと表現すればいいのか分からないほど忘れられないです。私たちの哀しい関係が表現されていて。ジュンモとギチョルの最初の出会いもスリリングでした。ギチョルは、江南連合の中で絶えずプレッシャーがあり、自分の仲間をずっと疑い続け、張り詰めた思いのまま誰も信じられない孤独な人間です。でもそんな彼が、私が想像していたのと違う感じで“ああいうふうに孤独を表現できる人なんだな”というシーンがあるんです。そのときの雰囲気が不思議なほど魅力的でした。 深みのある目線が印象に残っています」
――イム・セミさんのお話も含め、今後の展開が楽しみになります!今回の来日は、皆さんかなりハードなスケジュールでしたね。一番心に残っている思い出はなんでしょう?
チ・チャンウク「一番印象に残っているのは『最悪の悪』のことです…!(一同笑)。というのも、撮影が終わってからほぼ半年が経ちましたが、こうしてプロモーション活動をすることで、忘れていた感情や、撮影当時は感じなかった気持ちが芽生えます。。昨日会った特別ゲストの方々やファンの方々にとても感謝の気持ちでいっぱいです」
ウィ・ハジュン「私も、ファンの方々と会った記憶が一番強いです。もっと思い出を作りたかったので残念です。ファンの皆さんからエネルギーをもらえて、また私も力が湧きます。『最悪の悪』がたくさん愛されて、また良いタイミングで日本に来られたらと思います。その時は、もっとゆっくりファンの方々と過ごしたいですね」
イム・セミ「『最悪の悪』へ向かう期待のエネルギーが良い記憶です。いま、私たちはカメラの前でプロモーション活動をしていますが、カメラの裏で作品が上手くいくことを願って働いてくださっているすべての方々のためにも成功することを願う気持ちもあります。準備をしてくださる方々もきっと大変だったかもしれませんが、私たちがこうして宣伝をすることで良い評価を得たり、視聴者の皆さんから良い反応が来たらいいんじゃないかと思います」
取材・文/荒井 南