「展開がまったく見えない!」「未来について考えさせられる」異色の音楽映画『白鍵と黒鍵の間に』を観客はどう観た?

コラム

「展開がまったく見えない!」「未来について考えさせられる」異色の音楽映画『白鍵と黒鍵の間に』を観客はどう観た?

本物のミュージシャンたちによる圧巻の音楽シーン

ジャズを題材とした作品ゆえに音楽シーンに気合いが入っている本作。池松も半年の猛特訓を重ね、「ゴッドファーザー 愛のテーマ」を実際に演奏したそうだから驚きだ。

クリスタル・ケイらミュージシャンたちの実演によるセッションシーンは本作のハイライトの一つ
クリスタル・ケイらミュージシャンたちの実演によるセッションシーンは本作のハイライトの一つ[c]2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会

「すべての音楽がよかったですが、K助のサックスの演奏が特によかったです」(20代・男性)という声が寄せられたサックス奏者のK助役の松丸契をはじめ、アメリカから来たシンガー、リサ役のクリスタル・ケイといった実際のミュージシャンがキャスティングされたほか、若きジャズピアニストとして注目を集める魚返明未が音楽を担当している。

「クラブの中心で、みんなで演奏し、歌い、踊るシーン。あの場の全員が音楽に魅せられている姿が見ていて楽しかった」(20代・女性)
「いろいろな楽器で合奏が始まるシーン。いままでの安定をぶち壊していくように見えたから」(20代・女性)
「博の演奏を聴いて、先生が自由にピアノを弾きだすところ。灰を鍵盤にこぼしながら弾くところにノンシャラントを感じました」(20代・女性)
「ジャズに触れたことがなかったが、すてきな音楽が聴けて、今後意識して聴きたいと思った」(20代・女性)


終盤のセッションは大きな見せ場で、本物たちが奏でる説得力抜群のサウンドが印象に残った人も多かったよう。常にBGMが流れ、音楽シーンも多い本作は「音響がいい映画館で観るべき」(20代・男性)作品といえるだろう。

夢を追う主人公の姿が染みる…自身に重ね合わせる人が続出!

夢を追うことについて改めて考えさせられる『白鍵と黒鍵の間に』
夢を追うことについて改めて考えさせられる『白鍵と黒鍵の間に』[c]2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会

時間軸を超越したユニークな物語構造、魅力的なキャラクター、本格的な音楽など様々な要素が絡み合いながら、夢を追いかけるピアニストの葛藤や選択といった人生を描きだす『白鍵と黒鍵の間に』。夢を追う博と夢を失った南の姿を見て、自分自身と重ね合わせた人も多かったよう。

「いまは夢がないですが、あった頃を思い出した」(30代・女性)
「自分はなにをしたいのかを改めて考えさせられました」(30代・男性)
「私はいま夢を追いかけている最中ですが、常に変化と成長を求め続けようと思いました」(20代・女性)


「夢を持つこと」について改めて考えさせられたという言葉がアンケートには並んでいた。そんな本作を誰に、どんな言葉で薦めたいかを質問してみたところ、

「同い年の友人に。やりたいことが見つかっていない時に観ると考えさせられる映画」(20代・女性)
「自分と同じくくすぶっている人に。自分の未来についての考え方がわかるから観てほしい」(20代・女性)
「ジャズを知らない人に。展開が見えないおもしろさがあるうえに、ジャズに触れることができる」(20代・女性)
「音楽好きの人に。音楽の光と闇を堪能できる映画」(20代・女性)


など本作の持つ多彩な魅力を証明するようなバリエーション豊かな言葉が並んだ。音楽映画であり青春映画、そして実験的な側面も楽しめる『白鍵と黒鍵の間に』は、ぜひ劇場に足を運び、いい音響で堪能してほしい。


『白鍵と黒鍵の間に』は10月6日(金)より公開
『白鍵と黒鍵の間に』は10月6日(金)より公開[c]2023 南博/小学館/「白鍵と黒鍵の間に」製作委員会

構成・文/サンクレイオ翼

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