戦後日本の凄惨な事件から着想を得ていた!『オクス駅お化け』脚本、高橋洋のコメントが到着
<スタッフコメント>
●高橋洋(脚本)
「本作の後半で明らかになるストーリーは、戦後混乱期の只中に日本の新宿で起きたある忌まわしい事件をモデルにしました。1948年に起きた嬰児の大量殺人事件『寿産院事件』です。産院というより実質託児所で、産婆資格を持った女性が夫婦で経営しており、お金だけもらってあとはもうほとんど放置だったようです。正確な数は定かではないですが100名近い赤ちゃんが亡くなってしまって、陰惨極まりない事件だったんです。助産院で大勢の子どもが産婆によって殺され、養育料の横領や配給品の横流しが行われたおぞましい事件で、当時の日本社会に衝撃を与えた事件でもあります。僕の場合、脚本で呪いや恐怖の根源をどうやって成立させようか考えているうちにいつの間にか、社会問題や実際の事件と結びついていくことが多いんです。そうして、映画にしたものには、僕自身にとっても怖さがあるし、それは観客の方にもリアルに届くものだと思っています。これをソウルに置き換えて、オクス駅はもともと埋め立てできた駅だったので、埋め立て前に起きた事件ということにしました。駅を舞台にしたホラー映画という点では、列車とか地下鉄とか密の中でのワンシチュエーションドラマみたいなものは名作もたくさんあるんですけど、駅を舞台にしたホラー映画というのは実はあまりないんです。それに挑戦できたというのはいままでにない新しい体験でした。日本と韓国の合作で、日本人が考えている怖いことと韓国の人が考えている怖いことの融合、ハイブリッドなんでそこを楽しんで頂けたらと思います。ついにそういうことが実現できたっていうのはとても嬉しいことでした」
文/鈴木レイヤ
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