【ネタバレあり】まさかのスローン勝利宣言?次シーズンへの期待しかない!「スター・ウォーズ:アソーカ」最終話レビュー
アソーカが選んだ“ローニン・ジェダイ”という生き方
「大提督」と「魔女」が下した選択は、目的を果たすためには仲間の命すらいとわない冷酷さが強烈な印象を残すが、「ジェダイ」の場合はどうなのか?
まずは堕ちたジェダイと言われる2人組。ベイラン・スコール(レイ・スティーヴンソン)とシン・ハティ(イバンナ・ザクノ)は第7話で違う道を歩み始めていた。マスターに別れを告げられ、どこか不安げなシン・ハティに手を差し伸べるアソーカだったが、それを拒絶した彼女は、ぺリディアの落ち武者っぽい集団のまえでオレンジのライトセーバーを掲げる。ダークサイドに身を置くことを宣言したということだろうか?
一方、マスターのベイランは、彼がいたその場所に意味がありそうだ。ベイランが立つ巨大な石像は、モーティスに住んでいた強力なフォース使いの家族、ザ・ワンズのファーザーという説が濃厚だ。モーティスはフォースの根源ではないかと言われる聖域で、ザ・ワンズはジェダイでもシスでもなく、彼らより強い存在と言われていた。そんな場所にベイランがいるというのはなにを意味しているのか?登場した時からジェダイでもシスでもない言動をしていたベイランの目指すものを示しているのかもしれない。
そして、アソーカとサビーヌ、そしてエズラの3人。アソーカは、たとえ悪と組もうとエズラを捜すという目的を見事にまっとうしたサビーヌを温かく迎え、離れてしまったベイラン&シンとは対照的に、一緒にいることが重要だと考える。それでも居心地の悪そうなサビーヌに「困難な決断を下して、誰にも理解されなかった…アナキン(ヘイデン・クリステンセン)を除いて。マスターは常に私の味方だった」「私はいつだって、あなたを支える」という美しすぎる言葉を口にするのだ。
スローンは、アソーカの戦い方について「アナキンに似ている」と言ったが、実は一番似ているのはパダワンとの接し方なのだと思う。善と悪、規則や戒律を越えたところで信じあえるような濃密な関係性。だからこそアソーカは“ローニン・ジェダイ”の道を選び、サビーヌの選択をも許したのだ。ちなみに今回、スローンがアソーカに「ローニン」という言葉を使っているが、これは言い得て妙な表現だ。
また、アソーカはサビーヌにジェダイの真価についてこう教えている。「心と体を鍛えた上でフォースを信じること」。サビーヌはこのあと、エズラを励まし、離れゆくスローンのスター・デストロイヤー、キメラに乗せるためフォースであと押しする。ジェダイ的な行為に消極的だった彼女がマスターの言葉を信じ、フォースを信じたからこそできた奇跡だ。
エズラとヘラ、チョッパーが歓喜の再会を果たすも、問題は山積み!?
もう一つ、書いておかなくてはいけないのはアソーカ、サビーヌ、エズラが繰り広げるライトセーバーバトルだろう。シスターの呪術でゾンビ化したナイト・トルーパー軍団を相手に、白いセーバーのアソーカ、ブラスターを捨ててグリーンのライトセーバーをふるサビーヌ。そして、師匠ケイナン・ジャラスの教えにそって自らが作った青いセーバーを使うエズラ。それぞれの個性が滲んだセーバーで戦うこのシーンはアクションのハイライト。このあとに続くアソーカと、タルジンの剣を武器にしたモーガンの因縁の大バトルも素晴らしい。
さて、エズラである。まんまとスローンの旗艦に乗船した彼は帝国の船を奪い、トルーパーのスーツを着てヘラ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)たちの前に現れる。このエズラは「反乱者たち」で見慣れた姿。みんながいぶかしがるなか、エズラにいち早く気づいたのがチョッパーだったというのにも、思わず頬が緩むファンは多いはず。エズラ・ブリッジャーの帰還を祝うには最高のシチュエーションを作ってくれた。
とはいえ問題は山積みだ。なぜなら、「反乱者たち」と同じようにラストはアソーカ&サビーヌチームと、エズラ&ヘラチームが離ればなれになってしまい、スローンに勝利宣言を許してしまっているから。アソーカ&サビーヌは違う銀河にいるわけだから、果たしてどうやって帰還するのか?エズラとスローンもそのぺリディアで10年を過ごしたことを考えると、事態はかなり深刻といえる。そもそもスローンを銀河に放ってしまったのだ。準備のできていない新共和国はどうなる⁉
そんな不安を少し軽くしてくれたのが、アソーカとサビーヌの姿を静かに見つめる霊体アナキンの存在。一緒に行動し、信じあうことを誓ったマスターとパダワンの近くに、その重要性を教えてくれた最強のマスターがいてくれる。なにかとアナキンを意識しまくっているスローンのことを考えても、シーズン2のキーパーソンかキーワードは“アナキン”になるかもしれない。
文/渡辺麻紀