このジャンルにハズレなし!『SISU/シス 不死身の男』ほか“ナメてた相手が殺人マシンでした”映画5選
“世界一幸せな国”フィンランドが放つ爆風マッドエンタテインメント映画『SISU/シス 不死身の男』が10月27日(金)より公開される。本作では、ツルハシ1本と折れない心で敵を討つ“絶対に死なない”伝説を持つ老兵による痛快な壮絶バトルが描かれる。本作の公開を記念し、“ナメてた相手が殺人マシンでした”映画を5本ご紹介する。
脚本、監督を務めるのは『レア・エクスポーツ囚われのサンタクロース』(11)、『ビッグゲーム大統領と少年ハンター』(15)でも大自然を舞台にしたアクションアドベンチャーを描いてきたヤルマリ・ヘランダー。タイトルの“SISU(シス)”とはフィンランドの言葉で、正確には翻訳不能だが、すべての希望が失われた時に現れるという、不屈の精神を意味する。本作はそのSISUを武器に、伝説の兵士が、ナチス戦車隊をたった1人で血祭りにあげてゆくという痛快バイオレンスアクション映画となっている。
故国フィンランドで5か月連続トップ10入りという特大ヒットをたたき出し、2022年、シッチェス・カタロニア国際映画祭ファンタスティック・コンペティション部門で最優秀作品賞など4部門を受賞、批評サイト「ロッテントマト」では98%の高評価を獲得した。
「『ランボー』『マッドマックス』『ダイ・ハード』をミックスした、アドレナリン全開の面白さ!」(DEXERTO)、「『シス』は『RRR』に対するフィンランドの答え」(collider)と、世界からも激賞されている。日本でもSNS上で「国内で公開してほしい!」「笑ってしまうくらい不死身!」と早くも話題になっており、映画ファンの心に火をつける“掘りだしモノ映画”として、この秋ついに日本に上陸する。
そこで、映画ライターのギンティ小林が提唱し、いまや映画の一ジャンルとなった“ナメてた相手が殺人マシンでした映画”5本をピックアップ。すなわち、自分たちが最強だと自惚れている悪者が、実は相手のほうが凄腕の“殺人マシン”だと知らずにナメてかかったがために、なすすべなく完膚なきまでに殺されていくという流れの映画たちだ。
観る者の溜飲を下げてくれる爽快さが魅力で「このジャンルに外れナシ」と、多くの映画ファンから愛されてきた。最新作『SISU/シス 不死身の男』の公開を前に、ほかにも最強の“殺人マシン”たちが存在した人気シリーズのアクション映画を振り返っていく。
ナメてた相手が実は、特殊スキルを持つ最強オヤジだった!『96時間』
演技派俳優として知られていたリーアム・ニーソンが、アクション俳優としての魅力を見せつけ世界中を驚かせたのが『96時間』(08)だ。武器は娘への愛情と、イカつい長身から繰りだされる格闘スキル。ニーソン演じるブライアンは格闘、狙撃のスペシャリストである元CIA工作員で、誘拐された娘を取り戻すべく奔走するが、娘を救いに来たただの父親だろうとナメきった敵組織をせん滅する。
ニーソンは俳優の前はボクサーとしても活躍していたことがあり、191cmの巨体から繰りだす格闘術で相手をねじ伏せる姿は圧倒的な説得力を感じさせる。同作はリュック・ベッソン製作、脚本によるサスペンスアクションで、続編2本のほか、ドラマシリーズも制作された人気シリーズとなった。
ナメてた相手が、実は伝説の元殺し屋だった!『ジョン・ウィック』
続いて紹介するのは、キアヌ・リーブス主演で、巧みな銃さばきとカンフーを融合した“ガン・フー”を武器に戦う『ジョン・ウィック』(14)だ。かつて伝説的な殺し屋としてその名を轟かせたが、いまは足を洗い平穏な生活を送っていたジョン・ウィック。ところがそんな大物だとは露知らず、彼を完全にナメ切っていたマフィアのドラ息子がジョンを襲撃し、亡くなった妻からの贈り物だった子犬を殺してしまう。怒りが爆発したジョンは再び裏社会に戻ることを決意し、復讐を遂げていく。
タクティカルで流れるようなガンアクションが映画ファンに衝撃を与え、シリーズを追うごとに過激さを増していくアクションが世界中を熱狂させている。現在公開中の映画化第4弾『ジョン・ウィック:コンセクエンス』も大ヒット。そんな本シリーズを手掛けたチャド・スタエルスキ監督が、『SISU/シス不死身の男』を「今年最も楽しいアクション映画の1本!」と興奮気味に太鼓判を押している。
ナメてた相手が、実は元CIAエージェントだった!『イコライザー』
『イコライザー』(14)は、元CIAトップエージェントのロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)が、たった19秒で世の悪を完全抹消する闇の仕事請負人(通称:イコライザー)として暗躍する姿を追ったアクション映画。弱い者を助け、巨大な悪を倒すというマッコールの活躍ぶりが、アメリカ版「必殺仕事人」として例えられている。
普段はホームセンターで働いている愛想の良い男だが、敵を目の前にすると表情1つ変えず瞬時に抹殺していく殺人マシンぶりが見どころで、こちらも人気シリーズとなった。折しも本日、シリーズ最終章となる『イコライザー THE FINAL』が10月6日に公開されたばかりなのでぜひチェックして。
ナメてた相手が、実は盲目で無敵の元軍人だった!『ドント・ブリーズ』
続いて伝説的ホラー『死霊のはらわた』(81)のリメイク版で監督を務めたフェデ・アルバレスが監督し、サム・ライミがプロデュースした『ドント・ブリーズ』(16)。主人公の青年ロッキー役を演じたのは、『死霊のはらわた』リメイク版で主演を務めたジェーン・レヴィ。
強盗を企てた3人の若者が、大金を隠し持つ老人の家に忍び込む。しかしそこに住んでいたのは、どんな物音も決して聞き逃さず気配を感じ取れる、異常なほどの聴力を持った盲目の元軍人だった。老人だからと高をくくった若者たちの思いがけない恐怖を描いたショッキングスリラーとなった本作。観る者を震え上がらせるアイデアがこれでもかと詰め込まれており、88分という短尺の映画ながらも、お腹いっぱいになってしまう極上のスリルが存分に味わえる。
ナメてた相手が、実は“絶対に死なない”最強の老兵だった『SISU/シス不死身の男』
そして、ラストを飾るのは、“ナメてた相手が殺人マシンでした映画”の最新作『SISU/シス不死身の男』で、いよいよ10月27日(金)より公開となる。舞台は、1944年第二次世界大戦の末期、ソ連に侵攻され、ナチス・ドイツに国土を焼かれたフィンランド。荒野で大量の金塊を掘り当てた老兵アアタミの前に、ナチスの戦車隊が金塊を強奪しようと立ちはだかる。しかしこの男、絶対に敵にしてはいけない相手だった!
アアタミの姿に「なんだ、ただのジジイじゃないか」とナメてかかったナチス兵だが、実は彼、過去にたったひとりで300人もの敵兵を殺し“1人暗殺部隊”と恐れられていた伝説の老兵だった。とんでもない奴を相手にしてしまったと気づくも、時すでに遅し。ツルハシ1本と絶対に屈しない“SISU魂”を武器に、アアタミの怒りの鉄槌が牙をむき、次々と敵をなぎ倒していく。
老兵だと侮るなかれ。地雷原に追い込まれても地雷を敵に投げ返し爆殺、縛り首にあってももろともせず、ついには輸送機になんとツルハシでぶら下がり、なにがあっても“絶対死なない”人間離れした生命力がクセになりそう。既に本作を鑑賞した方からは「爽快感を通り越して快感すら感じる」、「『ざまあ!』感と爆笑度はこのジャンルの中でも最高峰」と早くも熱狂の声が挙がっている。
次々と敵を血祭りに上げていく凄まじい暴れっぷりから、新たに“殺人マシン”の歴史に新たに名を残すこと間違いなし。そんなアドレナリンファイター、アアタミの活躍に注目せよ。
文/山崎伸子