朝井リョウ原作『正欲』世間への“擬態“を目指す…新垣結衣&磯村勇斗の共演シーン
朝井リョウによるベストセラー小説を、岸善幸監督のメガホンで映画化した『正欲』(公開中)。このたび、本作より新垣結衣、磯村勇斗の共演シーンが初解禁となった。
2009年に「桐島、部活やめるってよ」で第22回小説すばる新人賞、2013年「何者」では直木賞を受賞した朝井が、作家生活10周年で書き上げた渾身の一作を原作とする本作。自身が「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と語り、2021年3月に発売されると、第34回柴田錬三郎賞を射止めた注目作だ。家庭環境、性的指向、容姿など、様々に異なる背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのはなにかというテーマを炙りだしていく物語が展開。検察官として横浜検察庁に務め、妻と息子と3人でマイホームに暮らす主人公の寺井啓喜役を稲垣吾郎、ショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月役を新垣、桐生の同級生の佐々木佳道役を磯村が務め、佐藤寛太、東野絢香らが共演している。
今回解禁となったのは、新垣と磯村が共演する、劇中の印象的なワンシーン。中学時代の同級生だった2人は、大人になってから思わぬ形で再会し、やがて互いに“ある秘密”を抱えていることを共有する仲になる。映像内では、佐々木が「これで擬態できないかな、世間並みに」と語りながら桐生に指輪を差しだす場面が。「この世界で生きていくために、手を組みませんか?」と“提案”を持ちかけ、桐生も「いいね、それ」と笑顔で答えるのだった。磯村は「非常に難しい役と出会ったという印象でした。岸監督やプロデューサーと何度も話し合ったぐらい、掴むのが難しかった。でもこの作品が届けたいメッセージは非常にいまの時代に合っているし、なにか救いになるのではないかと思いました」と役作りにおける苦労を語っている。一方新垣は、「夏月一人の場面の撮影はずっと重くて、苦しいなという感覚でした」と語るも、「磯村さんがクランクインされて、佳道と2人の場面になったら本当にホッとしたんです。夏月たちも実際にこういう気持ちだったのかもしれないなって、そのときにすごくリアルに感じました」と、磯村との充実した共演を振り返った。
とある秘密を共有しながら生きる、桐生と佐々木にはどのような運命が待ち受けているのだろうか?実力派俳優が集結した衝撃作の公開に期待が高まる。
文/鈴木レイヤ