『つんドル』穐山監督×深川麻衣×バービーのガールズトークが炸裂!「アラサー女子の生態、そのまますぎる」
「新しい関係性を築ける可能性を、気づかせてくれてありがとう!」(バービー)
――深川さんは、世代を超えた交流って日ごろありますか。
深川「私の場合は、お仕事で先輩方と一緒になる以外は、やっぱり同世代が中心なので、世代を超えたつながりは羨ましいなと思いますね。ササポンのことを“妖精”に例える方が多いんですが、向こうもそこまでこっちに興味があるわけでもなく、ちゃんと一線を引いた上で、対等に話せるような間柄になれる年上の方とは、普段なかなか出会えないので」
バービー「私はプライベートでよくスナックに行くので、50~60代くらいのおじさんたちとは割となじみがあるかな。年上のママがいるスナックを探して、初見で入ったスナックでも、常連っぽいおじさんに『デュエットしませんか?』って、お誘いするのも好きで(笑)。年齢を重ねても楽しそうにしている人たちの姿を見ているとめちゃくちゃ勇気をもらえるし、楽しみながらもそれぞれに人生があって、それがちゃんと歌に出るんですよ」
深川「おもしろそう! バービーさんみたいにスナックに行けば、ササポン候補に会えるかもしれないですね(笑)」
――ササポンと安希子の関係は、家族でも恋人でもなく、「遠い親戚の大切なお嬢さんを預かっている感覚だ」とササポンも言っていました。傷ついたアラサー女性の心に、ある距離感を保ちながら寄り添う存在としてのササポンについては、どうご覧になりましたか?
バービー「いまの時代は、『家族以外の人と家族的な関係を築いたっていいじゃない』というゾーンに入りつつあるから、すごくいいなとは思うけど、私が『モテたい』とか『売れたい』とかでギラギラしていた20代のころには、その考えが社会にもまだあまりなくて。私自身もそういった先入観みたいなもので割と凝り固まっていて、やっぱりひとつ屋根の下で一緒に暮らす相手は恋人か家族だけだと思い込んでいた節がありました。なので、今回の『つんドル』のような映画だったり、日々社会の価値観の変化に触れたりするにつれて、『ああ、あの頃は、自分で自分を縛り付けて苦しんでいたんだな』と思うようになって。『新しい関係性を築ける可能性を、気づかせてくれてありがとう!』という気持ちです」
――安希子としてではなく、深川さんとしては、この2人の関係性はどう映りましたか?
深川「ササポンの前では安希子は自然体でいられるというか、割となんでも話せる相手なんですが、『あ、私ってこんなふうに思っていたんだ!』みたいに、口に出すことで初めて自分の本当の気持ちに気づくこともあるじゃないですか。ササポンから返ってくる言葉って、人生を生きていく上でも大事にしたいと思えるくらい結構壮大で、安希子だけじゃなく私自身にもすごく響いたんです。『つんドル』のタイトルを見て、『えっ!?』と驚かれる方もきっとまだまだ多いとは思うのですが、恋愛関係に囚われずに性別や年齢の垣根を超えて理解し合える関係性が、今後もっと当たり前になったらいいなと思います」
穐山「私はこれまでも“名前のついてない関係性”を映画を通して描いてきたつもりなんですが、安希子とササポンも、法律や肩書といったものに何も縛られてはいない関係性だからこそ、必要とする時にふと寄り添ったり、自然にスッと離れたりすることもできるんですよね。恋愛関係だけじゃなくて、この2人の間だけに成立する特別な関係性みたいなのがあってもいいと思うし、そういった関係性を受け入れられる世の中になってほしい。『つんドル』もその1つのケースとして観てもらえたらいいなと思いますね」
取材・文/渡邊玲子