『首』&「どうする家康」で天下人の忠臣を好演!“支える”演技で魅せる大森南朋の存在感

コラム

『首』&「どうする家康」で天下人の忠臣を好演!“支える”演技で魅せる大森南朋の存在感

秀吉のアドリブ(?)に翻弄されるコミカルな羽柴秀長

』で大森が扮したのは、羽柴秀吉(ビートたけし)の弟である羽柴秀長(「どうする家康」でこの役を演じたのは佐藤隆太)。黒田官兵衛(浅野忠信)と共に、“天下取り”を虎視眈々と狙う秀吉をサポートするポジションだが、ここで描かれる秀長は兄の腰巾着で、頭脳明晰な策士の官兵衛に嫉妬しながらも、どこかヌケていて頭の回転も悪い。官兵衛も呆れるその鈍臭いキャラは、全幅の信頼を寄せることができた忠次とは似ても似つかぬもの。大森はこの憎めない秀長に、大河の時とはまるで違う飄々とした芝居で息を吹き込んでいて目が離せない。

【写真を見る】羽柴秀吉役ビートたけしの容赦ないアドリブに羽柴秀長としてコミカルに応えた大森南朋(『首』)
【写真を見る】羽柴秀吉役ビートたけしの容赦ないアドリブに羽柴秀長としてコミカルに応えた大森南朋(『首』)[c]2023 KADOKAWA [c]T.N GON Co.,Ltd.

大森が北野武監督の作品に出演したのは『Dolls(ドールズ)』(02)、『アキレスと亀』(08)、『アウトレイジ 最終章』(17)に続いて、今回で4作目。このことからも北野監督が大森のことを信頼しているのがよくわかるが、その安心感からなのか、秀吉に扮したビートたけしは台本にないアドリブのセリフを容赦なく、楽しそうに浴びせまくる。まるで、千本ノックのように。


大森はそれに動揺し、怯みながらもアドリブで返し、時に現代語混じりで食らいつくのだが、その姿がなんともコミカルで微笑ましい。秀長のポンコツぶり、ふざけた感じをにじませながらも、自身が持つ大らかなキャラで憎めない人物に。新たな持ち味を覚醒させた大森南朋に、またまた魅了されてしまった。

文/イソガイマサト

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