“サイコパス脳外科医”を演じる染谷将太、自分の想像を超えた役を演じるのは「楽しい」が、オファーの理由はわからない?
「自分の想像を超えた役に声をかけてくださるのって、すごく楽しい」
染谷といえば、どこか癖のある役柄を演じる機会が多い印象。今作においても、杉谷がまとう異様な空気は、染谷でなければ成立しないのではないかというほど説得力のあるものだった。ひと筋縄ではいかない役を求められている実感はあるといい、それを「楽しい」と、ユーモアを交えて語った。
「確かに毎回、『こういう役です』とお話をいただいた時に、想像がつかないことが多いですね。自分の想像の範疇にない役をいただくことが多いなとは思います。そもそも『サイコパス脳外科医みたいな役をやってみたいな』と、なかなか思わないじゃないですか(笑)。『今度は空海役です』と言われても(『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』)、“空海を演じる”という選択肢って、自分にはないものですから。そういう、自分の想像を超えた役に声をかけてくださるのって、すごく楽しいですよね。そういう役をいただくことが多いのは、なにが理由だろう…(苦笑)。でも、自分という素材をおもしろがってくれていたらうれしいなとは思います。そのうえで、自分ができることを一生懸命やろうとしか思っていないですね」。
「“生きたい”という衝動というのは、ひと筋縄ではいかないということをすごく考えた」
サイコパス脳外科医・杉谷のイメージとは異なり、染谷は、爽やかな笑顔と真摯な受け答えが印象的な好青年。しかし、物の見方や捉え方、言葉選びには独自の感性が光る。その個性も、彼が求められ続ける理由の一つなのではないだろうか。本作が投げかけるメッセージについても、染谷はこう受け取っている。
「結構深いメッセージのある作品だと思っていて。結局、この映画に出てくる人たちはみんな、基本的には生きたいんですよね。わりかし“人生を続けたい”という欲求が強い。だけどそのなかで、自分を犠牲にする瞬間がいくつか出てくる。“生きたい”という衝動というのは、ひと筋縄ではいかないなっていうことをすごく考えました」。
取材・文/新亜希子