「失恋ショコラティエ」原作者・水城せとなが若き日のウィリー・ウォンカを描き下ろし!ティモシー・シャラメが持つ世界観を絶賛
「ウォンカのお店が『もしかしたらあるかも…』という気持ちになって」
「失恋ショコラティエ」では、主人公の爽太が一つ一つ丁寧にチョコレートを作り上げていく。「ウォンカはチョコレート職人で爽太はショコラティエ。そこが大きな違いです」と解説。共通点はチョコレートで人を幸せにする、魅了するところだ。「お菓子は子どもにとっても大人にとっても魅力的。自然と非現実の気分に浸らせてくれる食べ物なんですよね。お菓子って栄養素的には食べなくても生きていけるものだし、むしろ食べない方がいいくらい(笑)。それでもお菓子に手を出してしまうのは、現実からちょっと抜け出して気持ちを休めたり、ちょっと現実離れした幸せな気持ちを味わいたいから。だからお菓子は必要なんです。そういう意味で大人にこそお菓子は求められているかもしれないし、だからこそこの映画は大人が観ても楽しいのかなって思います」と人々がお菓子に惹かれる理由への持論を展開した。
作品からはいい人も悪い人もみんなチョコレートが好きだという“チョコレート愛”を強く感じたという。「良くないことだと思っても、チョコレートが出てくると抗えない、みたいな。“チョコレートホリック”という言葉があるように、どんな人にとっても中毒性のあるものなんだなと思いました」としみじみ。劇中には失恋をチョコレートで癒すようなシーンも登場する。「チョコレートで勇気が沸いて、『なんかうまくいきそうに感じる』と前向きになる。自信のようなものを持たせてくれる力がチョコレートなどのお菓子にはあると思っているので、『そうだよね』と納得しながら観たシーンでした」とチョコレートが持つ力にも触れた。
さらに水城はチョコレートの町にやってきたウォンカが憧れのグルメアーケードを訪れるシーンも大好きだという。「イギリスが好きで何回か行ったことがあるのですが、ロンドンには本当にあのようなステキなアーケードがあって。なんだかすごく嬉しくなりました。実際にアーケードがあるのを知っていると、ウォンカのお店が『もしかしたらあるかも…』という気持ちになって。個人的に嬉しく感じたポイントです」と経験談と重ねて感想を語る。
イギリスのお菓子事情にも触れ、「パッケージがすごく凝っていて可愛いんですよね。独特のファンタジー感はイギリスならではだと思います。特別高級なチョコレートじゃなくても、香水が入っているような美しい箱で売っていたりして。お菓子やチョコレートには夢が詰まっているという共通認識があって、イギリスのパッケージが作られているのかな…」と想像を膨らませる。「もし、自分がイギリスに生まれ育っていたら、どんな漫画を描いていたのかなって思うんです。きっと日本のお菓子文化で育った自分には思いつかなかったような、ぶっ飛んだ世界観のショコラティエの話を描いたかもしれません」と笑い飛ばした水城は「シャラメのウォンカは飄々としていて、愛を周りに振りまく存在です。『失恋ショコラティエ』の爽太というよりもオリヴィエのほうに近いかも。オリヴィエはお菓子の文化を楽しむみたいなところがあるので」とシャラメ版のウォンカに感じた「失恋ショコラティエ」のキャラクターとの共通点も指摘した。
取材・文/タナカシノブ