【ネタバレあり】A24の衝撃作『トーク・トゥ・ミー』、驚きの結末に観客の評価は?
SNS時代を描く“リアルさ”に、共感の声が続々
観客の半数近くが印象に残ったシーンとして回答したのは、やはりすべての恐怖の始まりとなる“90秒憑依チャレンジ”のシーン。「本当に憑依されているような感じだった」(男性・20代)や「憑依された時の別人格の演技がとても良かった」(男性・20代)といったコメントからもあるように、キャスト陣が見せる生々しい表情に恐れおののいたようす。
また「普通そこまで鮮明に描写しないようなシーンが、トラウマになるくらい印象に残った」(男性・20代)や「音と映像の迫力で生々しくて怖かった」(女性・20代)と、ホラー映画には欠かすことのできない恐怖描写も好評。
その一方で、「恐怖シーンももちろん怖く、ただ怖いだけではなくストーリー性が重くて入り込んでしまいました」(女性・20代)というコメントも。家族や友情など、誰にとっても身近なドラマ性がこの作品のリアリティを高め、恐怖をより増幅させているのだろう。
本作でメガホンをとった“フィリッポウ兄弟”ことダニー&マイケル・フィリッポウ監督は1992年生まれ、現在31歳の双子の兄弟。2013年にYouTubeチャンネル「RackaRacka」を開設し、これまでに総再生回数15億回以上を記録している。
これが長編映画監督デビューとなった2人は、日本のホラー映画からも影響を受けたことを公言している。2人がお気に入りの作品として挙げているのは、Jホラーブームの火付け役となった中田秀夫監督の『リング』(98)と、独特な世界観でカルト的人気を誇る黒沢清監督の『回路』(01)の2作品。その影響が本作にも如実にあらわれているのか、「リング的な後味の悪さが良かった」(男性・20代)や「意外と死人が出ない、Jホラーっぽいところがよかった」(男性・20代)という声も見受けられた。
いまや若い世代にとっては映画以上に身近なメディアとなっているYouTube。そこで活躍するうえでは、その時その時で世の中が求ているものに敏感に反応しながら、常に表現をアップデートしていく必要がある。YouTuberとして大成功を収めたフィリッポウ兄弟の感度の鋭さは本作にも確かに反映されており、「現代のリアルな孤独を細かく写し出している」(女性・20代)など、若者描写のリアリティに驚いた観客が続出。
「SNSだったり、友人の感じがリアルだった」(男性・20代)
「SNAPCHATなど、SNSで過激さをましてしまうところ。仲間内のクローズドな恋愛模様」(男性・20代)
「10代特有の青春・恋愛や友人関係の葛藤が見事で、日本とさほど変わらないんだなと感じた」(男性・10代)
「人間関係に対してナイーブなところは時代変わらず」(女性・40代)
「SNSに夢中で他人の気持ちを蔑ろにするシーンはリアルだと思いました」(男性・20代)
「悪ノリで取り返しのつかないことになってしまうシーンが、現実でも起こりそうで怖かった」(女性・20代)
また、友人との付き合い方や、大勢でいるからこそ味わってしまう得体の知れない孤独感。家族との向き合い方など、SNS全盛の時代に限らない若者特有の心理に共感するコメントも続々寄せられている。
「危なそうなことでも周りの子がやってると仲間はずれになりたくないという思いから、つい試してみちゃうところが10代らしかった」(男性・10代)
「ミアが浮いていたのにもかかわらずチャレンジに参加するシーンは歯がゆい感覚になった」(女性・20代)
「家族との距離感、思春期に感じるふとした孤独感、異性との友情、ホラー抜きのシーンは共感できることがたくさんあり、涙しました」(女性・20代)
「母親の絶対的存在、母の言うことは絶対、認めてもらいたい。そんな気持ちだったのかな?と感じました」(女性・40代)
さてここからは、観客によって解釈が分かれたクライマックスシーンや続編への期待について、ネタバレも含めながらでチェックしていこう。