ディズニープラスのオリジナルファンタジーに見る“挑戦”と“王道”。「ワンダーハッチ」の注目ポイントとは?
“実写”と“アニメ”で描かれる2つの物語
本作の最も特徴的な要素と言えるのが、現実世界を実写、ウーパナンタはアニメーションで描くというメディアをまたいだ構成にある。作品全体の監督を務めるのは、窪田正孝主演の『東京喰種 トーキョーグール』(17)で、コミックの世界を見事実写世界に翻訳し絶賛された萩原健太郎、アニメパートの監督が劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』(19)の大塚隆史、そしてアニメ制作をProduction I .Gが担当。さらに、キャラデザインとコンセプトアートを人気イラストレーターで漫画家の出水ぽすか(「約束のネバーランド」など)が手掛けるなど、豪華制作陣がこの挑戦的な作品のために集結。実写とアニメの合わせ技作品はディズニーの『魔法にかけられて』(07)ほかこれまでも少なからず存在したが、本作は両者の比重がほぼ同じになっている。並行に進んでいた2つの世界の物語は、やがてリンクし新たな世界を生みだしていく。
アニメで描かれたウーパナンタの人々は、現実世界に到着すると実写へと転生する。劇中には、実写化したタイムたちがウーパナンタを回想するシーンがしばしば挟まれているが、実写とアニメで同じキャラを交互に映しだし、そこが実にシームレスなのだ。担当声優は実写の俳優と同じで、キャラデザインも俳優にリンクしているうえ、巧みな編集も手伝って実写とアニメが一体になった独特の世界を作り上げている。
心躍るファンタジー世界を描きだす「ワンダーハッチ」
童心に帰るような、ワクワクする世界観や魅力的なキャラクターを、ハイクオリティなビジュアルで実現した本作。ファンタジーとして、なによりエンタテインメントとして最高の布陣が集結した「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」の魅力にたっぷり浸ってほしい。
文/神武団四郎
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