ダニー&マイケル・フィリッポウ監督が明かす、『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』世界的ヒットの秘密
「SNSも含めて若者をリアルに描くことで、なにかが起きたときの衝撃を大きくする効果を狙いました」(マイケル)
――本作ではスマートフォンを使って降霊術を撮影していますよね。それをSNSに投稿するといった展開は逆に描かれなかったのですが、作品づくりにおいてソーシャルメディアの扱い方をどのように考えていますか?
マイケル「僕たちはソーシャルメディアについての映画ではなく、若い人たちに関する映画を作りたいと考えていました。若い人たちを描こうと思うと、必然的にSNSがついてくるので、映画のなかでSNSを登場させています」
ダニー「それに、映画のなかでは作り物のソーシャルメディアのプラットフォームを使いたくはないと考えていました。オーストラリアでは『Snapchat』が流行しているんですが、今回は許可をとって実際の『Snapchat』の画面を使っています。もしこれが偽物のプラットフォームを使っていたら、観客が物語と切り離されてしまうから、本物を使えてよかったと思います。でも、『Bookface』っていうソーシャルメディアは映画内に出てきていますね(笑)」
――降霊会の様子がスマートフォンで共有される描写によってリアリティが付与されていると感じました。そういった効果を計算したうえで組み込んだということですね。
ダニー「そうなんです。僕たちは、観客がリアルに感じるということをとても大事にしています。なにか極端なこと…幽霊やエイリアンが出たとか、いろんなものがソーシャルメディアに投稿されているけど、全部フェイクなのは皆わかっています。また、そういうものがフェイクだと慣れてしまっていると感じます」
マイケル「だから、世界やキャラクターをリアルに感じさせることで、なにかが起きたときの衝撃が大きくなる。そういう効果を狙っていました」
――お2人はYouTuberでもあるわけですが、YouTubeのオススメのホラー動画といえば?
ダニー「僕はKane Pixelsの『The Backrooms (Found Footage)』とか、『Analog Horror』が好きですね」
マイケル「『Super Eyepatch Wolf』というチャンネルの、『インターネットがガーフィールドにやったこと(What The Internet Did To Garfield)』は変な感じがして怖かったですね。オススメです」
ダニー「あなたのオススメも教えていただけますか?」
――日本では「フェイクドキュメンタリー『Q』」というシリーズがあってとても怖いので、観てみてください。
マイケル「それは気になります。ぜひ観てみますね!」
このあともフィリッポウ兄弟は、近藤監督がYouTubeの「FAKELORE-フェイクロア」というチャンネルに『アイスの森/禍話』という動画をアップしていると知るとその場でチャンネル登録をしたり、短編版『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』のフッテージを観て歓声を上げたりと、時間の許す限りホラークリエイター同士の映画談義に花を咲かせていた。
取材・文/近藤亮太