「ワンダーハッチ」「ガンニバル」プロデューサーが語る、世界へ発信するためのクリエイティブ「日本の文化でしか語り得ない物語がある」
「子ども時代に少年ジャンプでワクワクさせてもらったから、そのリスペクトもあります」
本作では、鉄腕アトムの人形など実在のコンテンツが登場するも特徴的だ。特に現実と異世界をつなぐカギとして、「キャプテン翼」のコミックスが大きな役割を果たす。これを取り入れた理由も、演繹的な作劇が生んだものだという。「僕らは子ども時代に『少年ジャンプ』でワクワクさせてもらったから、そのリスペクトもありますし、『ボールはともだち。こわくないよ』というキャッチーなフレーズもあったから、登場してほしいなと思っていました」と少年のような笑顔を見せる。
「それと同時に、図像と言語というものを介して現実側の情報をウーパナンタに大量に送って、タイムたちが現実の世界を理解するということをやりたかったのもありました。わかりにくいかもしれないけれど、タイムを追って“現実世界”にやってくるサイラはタブレットみたいなものを持っていたりします」。
「萩原さんは大切なものを大切なものとして受けとめられる」
時間と労力をかけたのは脚本開発だけではなく、本作ではそれぞれの役に相応しいキャストが結集し、「そこには無意味な忖度はない」と自信を覗かせる。
「中島セナさんは彼女の持つ純粋さとノーブルな印象がナギにピッタリでした。退屈な毎日に辟易している感じが彼女の目を通して伝わるだろうなと思ったし、タイムとの出会いで心を開き、魅力的な女性になっていくのでは?という想像を掻き立てられましたね。そのタイムに扮してくれた奥平大兼さんも少年のようなピュアな瞳が魅力でしたし、SUMIREさんも、“理の外”(=現実世界)の研究に没頭するサイラそのものな感じがして。森田剛さん、新田真剣佑さん、田中麗奈さんも醸しだす雰囲気や顔立ちがそれぞれの役に合っていて、キャスティングは本当に上手くいきました」。
想像の種をまいた萩原健太郎監督に対しても、「萩原さんが持っている純粋さは、あとから作ることができないと思うんです。大切なものを大切なものとして受けとめられるあの感性はなかなかないし、それは映像に映ると僕は信じているんです」と絶大な信頼を寄せる。「それにCMの仕事などで映像的な実験をされている萩原さんは、普通の映画監督と違ってVFXの経験値も豊か。精神論だけではく、テクニックも備えているのが魅力的でしたし、それこそ、この企画を最初にやりたいって言ったのは彼ですからね(笑)」。