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「ワンダーハッチ」「ガンニバル」プロデューサーが語る、世界へ発信するためのクリエイティブ「日本の文化でしか語り得ない物語がある」

インタビュー

「ワンダーハッチ」「ガンニバル」プロデューサーが語る、世界へ発信するためのクリエイティブ「日本の文化でしか語り得ない物語がある」

“実写"と“アニメ"を融合させたディズニープラス「スター」の完全オリジナルファンタジー・アドベンチャー大作「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」が、独占配信中だ。MOVIE WALKER PRESSでは、本作の企画、開発から仕上げまでのすべてのプロセスに携わった、ウォルト・ディズニー・ジャパンの山本晃久プロデューサーを直撃。話題作「ガンニバル」もスマッシュヒットさせた山本に、制作の舞台裏を聞いた。

本作の舞台は、実写で描かれる“現実世界”とアニメで描かれる竜が空を飛ぶ“異世界”。女子高生のナギ(中島セナ)は、幼いころから音に色がついて見える不思議な能力を持っていたが、クラスメイトたちと馴染めず、生きづらさを感じていた。そんな彼女の前に、ある日突然、異世界のウーパナンタから“ドラゴン乗り”の少年タイム(奥平大兼)と相棒のドラゴン、ガフィン(声:武内駿輔)が出現。次第に心を通わせていく2人が、お互いの世界を救うために壮大な冒険の旅に出ることになるのだが、そこでは様々な試練が待ち構えていた。

「現場は特に大切にしながら、本当に最初から最後まで作品に関わるのがプロデューサーです」

そんな心躍る本作がどのように産み落とされたのか?と、その本題に入る前に、山本の考えるプロデューサーという役割について改めて聞いてみた。すると、「作品の頭からお尻まで、すべてに関わるのがプロデューサーです」と瞬時に答えが返ってきた。

本作のプロデューサーを務めた山本晃久
本作のプロデューサーを務めた山本晃久

「ある作品を映像化したいってなったら、その作品に相応しい監督や脚本家、俳優を考え、率先して脚本を作り、その脚本ないしはプロットを映画会社やテレビ局にプレゼンに行き、出資を募ります。制作プロダクションのプロデューサーの場合は、さらに制作過程もしっかり見て、どんなスタッフを集め、セットでやるのかロケーションにするのかも検討しながら、お金の使い方も考えます。“現場が作品をつくる”と思っているので、そこは特に大切にしますけど、撮影が終わったら仕上げにも携わるので、本当に最初から最後まで作品に関わることになりますね」。

「誰かが考えた世界というのは、実はこの宇宙のどこかにすでにあったものなんじゃないか」

そんな山本が、本作を「スター」のオリジナルシリーズとして制作することになったきっかけは4年前にまで遡る。「僕がまだ前職のC&Iエンタテインメントのプロデューサーだったころに、本作の萩原健太郎監督からこの企画の種みたいなものを受け取ったんです」と、懐かしそうに目を細める。

母の仕事部屋を調べていたナギの前に、突然タイムとガフィンが現れる
母の仕事部屋を調べていたナギの前に、突然タイムとガフィンが現れる[c]2024 Disney

「その時はまだ、『週刊少年ジャンプ』的な“漫画の世界”の住人や主人公が現実世界にやってくるけれど、この世界では自分の心情や力が通用しなくて、苦難の連続に陥るという内容でした。どストレートなファンタジーだし、挑戦的なオリジナルのプロットで、『それはおもしろい!』という話になりました。この物語にシンパシーを感じてくれるのは、もしかしたらディズニーなのではともちょっと思っていました。そうしたら、僕がタイミングよくディズニーからクリエイティブ・プロデューサーのお誘いを受けて。その後、プロットもわりと早い段階で社内の承認をいただけました。この作品にとってはすごく幸福な道筋を辿ることができたなと思っています」。


脚本の開発では、本作の肝とも言える「アニメの世界の住人が現実世界にやってくる」設定とその表現方法について、山本と萩原監督、脚本の藤本匡太の3人を中心にブラッシュアップを重ねていった。「オリジナルのプロットにあった“漫画世界”を映像で表現するとややこしくなるので、タイムたちの住む場所を“異世界”という設定にし、それをアニメで描くという逆転の発想をしたんです。アニメの技法を使うという前提でストーリーを作っていくことで、ドラゴンが竜巻に向かっていくという実写では難しいシーンなども描くことができました」と振り返る。

崩壊しようとするウーパナンタを守るアクタ空団
崩壊しようとするウーパナンタを守るアクタ空団[c]2024 Disney

「そこから僕が、萩原監督に対して大きく楔を打ったと言うか、アイデアを出させていただいたんです。それは漫画家や物を創りだす人だけに限らず、『誰かが考えた世界というのは、実はこの宇宙のどこかにすでにあったものなんじゃないか』という考え方です。この発想は、萩原監督もすごくおもしろがってくれました。その発想が人間の想像力の可能性を押し広げてくれるし、『想像力が世界の扉を開く』という劇中のセリフにも結びついていきました。だって子どものころは、あんなに想像力が豊かだったじゃないですか?その日常にあった素朴な喜びをどうやったら取り戻せるのかな?というコンセプトも感じられるものにしたいという話をしましたね」。

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