建築家、安藤忠雄らがデザイン!『PERFECT DAYS』にも登場する渋谷区の個性豊かな公衆トイレたち
■神宮通公園トイレ/建築家:安藤忠雄
「あまやどり」と題されたこちらのトイレは、縞のような縦のラインは模様ではなく、細い木材を等間隔に並べたもの。風通しをよくすることで湿気がこもるのを防いできた日本の伝統を受け継いだ作りになっている。内側にいると、外を通る人影が幻想的なシルエットを作りだす。映画では平山と彼の仕事に同行するニコが一緒に訪れ、その仕事ぶりを見て彼女がなにかを感じるシーンに使われた。
■七号通り公園トイレ/クリエイティブディレクター:佐藤カズー
コロナ禍を経験したことで、“触れる”ことに対して敏感になった人も少なくないはず。「Hi Toilet手をつかわないトイレ」と名付けられたこちらのトイレは、世界一清潔な公共トイレを極めた結果、ドアの開閉から洗浄までボイスコマンドを使う正真正銘の“手を使わない”トイレ。映画では、いきなり仕事を辞めてしまったタカシの担当地区まで清掃することになった平山が夜になっても働いているシーンで、その外観が登場する。闇のなかに浮かぶ不思議な姿も印象的だ。
ほかにも「THE TOKYO TOILET」には、広尾東公園トイレ「Monumentum」(クリエイティブディレクター、アートディレクター:後智仁)や、恵比寿公園トイレ(インテリアデザイナー:片山正通/Wonderwall(R))、鍋島松濤公園トイレ「森のコミチ」(建築家:隈研吾)といった多彩なトイレがラインナップされており、どれも個性豊かで思わず入ってみたくなるものばかり。
また、劇中で役所が着ているユニフォームは、神宮前公衆トイレをデザインしたNIGO(R)監修による実際の清掃員のものと同じ。利用者目線で丁寧な清掃やメンテナンスが行われている、渋谷のアートな公衆トイレ巡りをして、映画の世界を追体験してみてはいかがだろうか。
文/神武団四郎