出水ぽすかの美麗イラストから貴重な設定資料まで!「ワンダーハッチ」の世界を広げる圧巻の美術とこだわり
アクタの大切な仲間への思いと故郷への郷愁を体現するアクタ村
次に紹介するのは、現実世界に迷い込んだ勇者アクタの住む“アクタ村”だ。第3話で彼は、人々が心を忘れた荒んだ社会に同化できず、自分に共感してくれるわずかな仲間と小さな無人島、猿島に移り住み村を作っていたことが明かされた。ちなみに猿島は、神奈川県横須賀市にある実在の無人島であるが、“アクタ村”の撮影自体は千葉県茂原市で行われた。
アクタ村は、誰もが幸せに暮らせる理想の楽園を目指して生まれた場所。人々は自給自足の暮らしをしており、漁や農耕、ハチミツ栽培などのほか、家畜の姿も見てとれる。村の中央には木材や廃材を使って、かつてアクタの相棒だったドラゴンのイグルを模した巨大な像が建てられている。
全体図からわかるように、村は山の斜面を利用した高低差のある作りで、斜面に太陽光パネルのようなものも設置されているので、電気も自給していると思われる。この村では集団生活が基本。食事は全員分をまとめて作り一緒に食べ、子どもたちが遊ぶための遊具や洗濯場なども置かれている。
住居の小屋は廃材や自然の樹木を生かし、布などを張った質素な作り。曲線の多い“いびつ”な形状に加えて、赤や青、緑など色鮮やかな布地は生き物を思わせる。いろいろな色や形のモビールが飾られていたり、尖った木々をドラゴンの頭部のように組み合わせて取り付けられていたりするのも特徴的。アクタを探して猿島を訪れたタイムによると、アクタ村はウーパナンタを再現しようとして作られたのだろう。
第4話では、アクタが不思議な物体“イイド”を操り、ウーパナンタと同様に猿島を空中へと浮かばせてしまう。第6話以降の後半戦では、時空の裂け目からドラゴンたちも飛来し、壮大なスペクタクルへと発展していく!次元を超えて出会ったナギとタイムの大冒険を盛り上げる、ファンタジーならではの世界観が体感できる「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」から、この先も目が離せない。
文/神武団四郎