韓国映画界を席巻した“認知症老女すり替えサスペンス”が日本上陸!『ビニールハウス』日本公開決定|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
韓国映画界を席巻した“認知症老女すり替えサスペンス”が日本上陸!『ビニールハウス』日本公開決定

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韓国映画界を席巻した“認知症老女すり替えサスペンス”が日本上陸!『ビニールハウス』日本公開決定

第27回釜山国際映画祭で3冠を獲得したキム・ソヒョン主演のサスペンス映画『ビニールハウス』が3月15日(金)より日本で劇場公開されることが決定。日本版ポスタービジュアルや予告編、場面写真が解禁された。

【写真を見る】場面写真からは、張り詰めた緊張感が伝わってくる
【写真を見る】場面写真からは、張り詰めた緊張感が伝わってくる[c]2022 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

本作は貧困や孤独、介護などの現代の社会問題をモチーフに、一瞬の選択から取り返しのつかない破滅へ導かれてしまう主人公の姿を描いたサスペンス映画。ビニールハウスに暮らすムンジョン(ソヒョン)の夢は、少年院にいる息子と再び一緒に暮らすこと。引っ越し資金を稼ぐために盲目の老人テガンと、その妻で重い認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている。そんなある日、風呂場で突然暴れだしたファオクが、ムンジョンとの揉み合いの最中に転倒。床に後頭部を打ちつけ、そのまま息絶えてしまう。ムンジョンは息子との未来を守るため、認知症の自分の母親を連れて来て、ファオクの身代わりに据える。絶望のなかで咄嗟に下したこの決断は、さらなる取り返しのつかない悲劇を招き寄せる。

主人公のムンジョンに扮するソヒョンは、大ヒットドラマ「SKYキャッスル~上流階級の妻たち~」、『Mine』(21)などで活躍する実力派。本作の出演にあたって「綱渡りのような危うい人生を生きる彼女こそ、まさに私自身ではないかと感じ、最初に台本を読んだときには涙を流しました」と語り、極限の感情表現を求められる新境地を開拓した。批評家や観客を圧倒した彼女の熱演は、韓国のアカデミー賞と称される第59回大鐘賞映画祭を始め、第43回韓国映画評論家協会賞、第32回釜日映画賞、第43回黄金撮影賞などで主演女優賞ほか6冠の快挙を成し遂げ、2023年の韓国映画賞に旋風を巻き起こした。

盲目の老人テガン役には「VIP-迷路の始まり-」、「私の解放日記」など、韓国ドラマを中心に活躍するベテラン俳優ヤン・ジェソン。さらに「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」で一躍脚光を浴び、本作で第44回青龍映画賞新人女優賞にノミネートされた、今後の活躍が最も期待される俳優のひとり、アン・ソヨらがキャストに名を連ねる。監督、脚本、編集を手掛けるのは、ポン・ジュノらを輩出した名門映画学校、韓国映画アカデミーで学んだ若干29歳のイ・ソルヒ。監督自身の認知症の祖母と、祖母をケアする母親の関係性から着想を得てオリジナル脚本を執筆したというだけに、貧困や孤独、高齢者をめぐる介護や認知症といった社会問題に鋭く切り込みながら、ムンジョンの想像を絶する運命をスリリングに描出。新人監督としては異例の第27回釜山国際映画祭で3冠を獲得し、第59回大鐘賞映画祭、第44回青龍映画賞の新人監督賞にノミネートされるなど、鮮烈な長編映画監督デビューを飾った。

このたび解禁された日本版ポスタービジュアルには“半地下はまだマシ”というキャッチコピーが添えられ、ムンジョンが暮らす、とある農村地帯にたたずむ黒いビニールハウスが切り取られている。『パラサイト 半地下の家族』(19)でも注目を浴びた韓国の住居貧困。元々は作物栽培のための農業施設であるビニールハウスもまた、不動産価格の高騰や経済の低迷により、正規の住宅を失った低所得者層、移民労働者が転がり込むなど、半地下や屋上部屋よりもさらに「最底辺」住居として韓国では社会問題となっている。写しだされたムンジョンのシリアスな表情から、彼女の過ちが招いた運命の行方に想像をかき立てられる。

またあわせて公開された予告編映像は、訪問介護士として働くムンジョンの日常が、介護先の認知症の老婦人の死をきっかけに一転し、破滅へのスパイラルが加速する、緊張感高まる様子が収められている。

ムンジョンは盲目の老人テガンと、その妻で重い認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている
ムンジョンは盲目の老人テガンと、その妻で重い認知症を患うファオクの訪問介護士として働いている[c]2022 KOREAN FILM COUNCIL. ALL RIGHTS RESERVED

さらに、介護先で献身的に働くムンジョンの姿や、盲目の夫が認知症の妻を老老介護する様子、夫がすり替えられた“妻”を疑うサスペンスフルな場面などが切り取られた10点の場面写真も同時解禁されている。


韓国の新鋭監督が社会問題をモチーフに負のスパイラルをスリリングに描いた本作。衝撃のラストはぜひスクリーンで堪能したい。

文/スズキヒロシ

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