第96回アカデミー賞5部門ノミネート!『アメリカン・フィクション』がPrime Videoで独占配信決定
第96回アカデミー賞で作品賞と主演男優賞、助演男優賞、脚色賞、作曲賞の5部門にノミネートされている『American Fiction』が、『アメリカン・フィクション』の邦題で日本上陸が決定。2月27日(火)よりAmazon Prime Videoにて独占配信がスタートする。
本作はパーシヴァル・エヴェレットの小説「Erasure」を原作にした風刺的なブラックコメディ。売れない作家セロニアス・“モンク”・エリソンは、新作の原稿が「黒人的ではない」という理由から出版社に受け入れてもらえず、対照的に白人社会の求める黒人像に迎合した作品を書く若手作家が人気を集めている現状に不満を抱き、勢いであらゆるステレオタイプを詰め込んだ小説を執筆。別人の名前をペンネームにして出版したその小説が、図らずして大ベストセラーとなってしまい…。
「マスター・オブ・ゼロ」やHBOのテレビシリーズ「ウォッチメン」の脚本家として知られるコード・ジェファーソンが初めてメガホンをとり、主演のモンク役を演じるのはダニエル・クレイグ版「007」シリーズのジェフリー・ライト。共演にはトレーシー・エリス・ロスやイッサ・レイ、本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたスターリング・K・ブラウンのほか、アダム・ブロディやキース・デイヴィッドらが名を連ねている。
昨年秋に行われたトロント国際映画祭でプレミア上映されるや大絶賛を浴び、同映画祭の観客賞を受賞。同賞を受賞した作品は2008年から2022年までの15年間で14作品がアカデミー賞作品賞にノミネートされており、うち5作品が受賞を果たしていることから、一躍アカデミー賞の有力候補として大きな注目を集めることに。その後もアカデミー賞に向けた前哨戦となる全米各地の批評家協会賞でも数多くの賞に輝き、現時点で52の映画賞を受賞、アカデミー賞を含む153の映画賞へのノミネートを獲得している。
批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家から寄せられた好意的レビューの割合は94%で、観客からの好意的レビューの割合も95%と極めて高い水準をキープ。批評家ジュールデン・サールズは「IndieWire」に寄稿したレビューのなかで「黒人の知性主義を評価したり有意義なかたちで関与できない白人の性質や恩着せがましさに批判的な視点を向けた作品。白人中心のドラマが主流の映画界に新鮮な息吹を与えてくれる」と評している。
そして北米では昨年12月15日に7館の限定公開で上映がスタート。事前の注目度が高い作品とあって、オープニング週末には興収ランキングでトップ20に入る大健闘を見せ、その後もスマッシュヒットを記録。先日のアカデミー賞ノミネートを受けて1月26日から上映館数は1702館まで拡大し、公開7週目にして見事トップ10入りを果たした。
第96回アカデミー賞作品賞で候補に上がっている作品は、『バービー』(2月2日より再上映)、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(Apple TV+にて配信中)、『マエストロ その音楽と愛と』(Netflixにて配信中)、『哀れなるものたち』(公開中)の4作品がすでに日本国内で鑑賞することができ、『落下の解剖学』は2月23日(金)より公開。『オッペンハイマー』(3月29日公開)を含む3作品がアカデミー賞授賞式後に公開を予定している。
日本国内での劇場公開が叶わなかった『アメリカン・フィクション』だが、日本時間3月11日(月)に執り行われるアカデミー賞授賞式に先駆けて有力作の一本を観ることができるのはうれしいかぎり。是非ともチェックして、授賞式に備えよう!
文/久保田 和馬