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第96回米国アカデミー賞で作品賞と脚本賞にノミネート!『パスト ライブス/再会』本国ロング予告

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第96回米国アカデミー賞で作品賞と脚本賞にノミネート!『パスト ライブス/再会』本国ロング予告

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(23)を生みだしたA24と、『パラサイト 半地下の家族』(20)を配給した韓国のCJ ENMが初の共同製作で贈る『パスト ライブス/再会』(4月5日公開)。第96回米国アカデミー賞で、作品賞と脚本賞にノミネートされた本作の本国ロング予告編が解禁された。

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本作は、ソウルで初めて恋をした幼なじみの2人が、36歳となった24年後、NYで再会する7日間を描いたラブストーリー。久しぶりに会った2人はニューヨークの街を歩きながら、これまでの互いの人生について触れ、「もしもあの時、あなたとの未来を選んでいたら—」と“選ばなかった道“に想いを馳せる。

第96回米国アカデミー賞では、『オッペンハイマー』(3月29日公開)や『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(23)、『バービー』(23)など名だたる作品と肩を並べ、作品賞と脚本賞の主要2部門で見事ノミネートをはたした本作。賞レースではゴッサム賞での作品賞受賞をはじめ、ゴールデン・グローブ賞で作品賞(ドラマ部門)賞、非英語作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞(ドラマ部門)の5部門にノミネート、第58回全米映画批評家協会賞で作品賞を受賞するなど、目の肥えた批評家たちから熱烈に支持され、現在(1月25日時点)、223の映画賞へノミネート、76受賞と賞レースを席巻。さらに複数の海外メディアが「ベストムービー」に挙げ、毎年映画ファンが注目するオバマ元大統領のお気に入り映画にも選出されている。

本作で鮮烈な長編映画監督デビューを飾ったのは、セリーヌ・ソン。12歳の時、家族とともにソウルからトロントへ移住し、その後ニューヨークに移った自身の原体験をもとにオリジナル脚本を執筆。彗星のごとく現れた揺るぎない才能が、いま世界中を虜にしている。主人公のノラ役には、Netflix配信ドラマ「ロシアン・ドール」で注目され、声優として『スパイダーマン:スパイダーバース』(19)にも参加、ハイブランド「ロエベ」のモデルも務めるグレタ・リー。幼なじみのヘソン役は、ニューヨークとベルリンで俳優としてのキャリアを重ね、2009年よりソウルを拠点に活躍、Netflix配信ドラマ「その恋、断固お断りします」などに出演したユ・テオが抜擢された。彼は本作で、第77回英国アカデミー賞主演俳優賞にノミネートされている。ノラの夫アーサー役には、『キャロル』(16)や『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(16)などに出演、ケリー・ライカート監督『ファースト・カウ』(23)で主演を務めたジョン・マガロがキャスティングされた。

解禁された予告映像には、ノラとヘソンが24年ぶりにニューヨークで再会した瞬間の、互いの気持ちがあふれだす表情や言葉にならない声で喜び合う姿がみずみずしく切り取られている。この再会に、ノラの夫アーサーは「この物語で、僕は運命を阻む邪悪な米国人の夫だ」、「彼は13時間かけて来た。会うなとは言えないよ」と、ヘソンに対する複雑な気持ちを妻ノラに吐露しながらも、彼ら2人の関係性を尊重し見守る。1人の女と2人の男、複雑な気持ちと緊張感を保つ3人。言いようのない“縁”に導かれた彼らが、再会の数日間を経ることで、「もしもあの時…」と過去に選ぶことができた人生の分かれ道、そしていま歩んでいる日々の生活にそれぞれの想いをめぐらせる。

本作のキーワードは、映像の冒頭にも出てくる、“縁“(イニョン)。“摂理”または“運命”という意味をもつ韓国語で、ノラの台詞にも「見知らぬ者同士が道ですれ違い、袖が偶然軽く触れたら、8000層もの“縁”が結ばれたということ」という言葉が登場する。ソン監督は、この言葉の概念について「東洋の文化では“縁”について語るとき、必ずしも行動に移せるものではないことが多いんです。時には、突然現れるような場合もあります」と説明したうえで、「“縁”はロマンチックな概念ですが、結局のところ、人と人との関係性や、その親密さを表すもの」だと語る。

また「この作品は、時間と場所の隔たりをも超えた結びつきについて描いたもの」と明かしている。12歳、24歳、36歳と3つの時代を描くとともに、ソウルとニューヨークの国境を越えてつながる“縁“。本作は、24年ぶりのノラとヘソンの再会の物語でありながら、36歳となった現在、ニューヨークでノラと人生をともにしているアーサーも含めた3人の“縁”にまつわる物語である。ソン監督はこの物語を“愛”だと語り「愛とは、相手のことを尊敬し、その人生を理解してあげること。守ってあげる価値がある、存在する価値があると理解してあげることです」と言う。


“縁”によってつながった者同士の“愛”についての映画『パストライブス/再会』。今後も続報を追っていきたい。

文/山崎伸子

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