松村北斗&上白石萌音の“カテゴライズできない関係性”に共感。映画ファンは三宅唱監督作『夜明けのすべて』をどう観た?
不思議な距離感と空気感に包まれた絶妙な関係性
「少人数でも理解しようとしてくれる人が近くにいるだけで希望になると思うため、すばらしい関係性だと感じました」(30代・男性)
「“2人組”は異性、同性に限らず、なにかしらの名称を付けられてしまうが、山添くんと藤沢さんはただ“山添と藤沢”なんだなと思った」(20代・女性)
「お互いにとってポジティブな存在。心の片隅に居て、ふっと思い出してほっとするような」(10代・男性)
これらの言葉からもわかるように、友人、恋人などとカテゴライズせず、“人と人”として描かれた関係性が魅力的な本作。数々のシーンに、助け合う山添くんと藤沢さんの絶妙な距離感が表れている。
例えば、山添くん宅での散髪シーン。藤沢さんが髪を切り過ぎてしまうが、意外にも山添くんは爆笑し、これを機に2人はグッと打ち解けていく。この重要な一幕も笑いと共に描かれており、その爽やかさが気持ちいい。「山添くんのパニック障害の発作が出てしまうかも、という緊張感が一気に逆転する様がかわいかった」(20代・女性)と、ほっこりさせられたとのコメントが並んでいた。
さらに、会社での大掃除中にPMSの症状が出そうになる藤沢さんを山添くんが外に連れだす一幕には、「『1人で怒っててください』と山添くんが語るシーンは、ユーモアもあり、山添くんから藤沢さんへの思いやりを感じて、すてきな人だなと感じました」(20代・女性)、「配慮の仕方にほっこりしました」(40代・男性)など、山添くんらしくぶっきらぼうな言葉で救おうとする姿に、気の置けない関係性が垣間見える。
そんな2人は会社で行うプラネタリウムの解説原稿を担当することに。そして当日、藤沢さんの口から一緒に熟考した言葉の数々が語られていく。
「『元来人間は夜明けに希望を見いだす生物らしい』というフレーズに希望を感じました」(30代・女性)
「夜明けについての言葉。確かに夜明けってなにか希望を感じるし、でも意識してこなかった。同じ朝はない。なんか生きてるって感じました。夜を迎えるのが、朝を迎えるのが楽しみになった。きっと生きる希望になりそうです」(20代・女性)
生きづらさを抱えながらも前向きになった2人の姿勢が表れた言葉は、多くの観客の心に響いたようだ。
「どんどん近づいていく2人の関係に恋仲になるのかな?と思いきや、恋人を超えた、いつでも見上げたら見える“星”のような関係だなと思いました」(30代・女性)
「孤独な星について語る場面があったが、まさにそのような2人だと思った」(20代・男性)
山添くんと藤沢さんの関係を星に例える言葉も並んでおり、映画オリジナルで付け加えられた宇宙の要素は、映画で初めて作品に触れた人はもちろん、原作のファンにも好評を博している。