韓国芸能界を震撼させた性加害事件を題材にしたドキュメンタリー『成功したオタク』ファンの苦悩を描く予告編
韓国芸能界を震撼させた性加害事件をきっかけに制作されたドキュメンタリー映画『成功したオタク』が3月30日(土)より公開される。このたび、本作の予告編、本ビジュアルが解禁となった。
あるK-POPスターの熱狂的ファンで、「推し」に認知されテレビ共演も果たし「成功したオタク」と呼ばれたオ・セヨン監督が、推しの逮捕をきっかけに同じような経験をした友人たちの話を聞きに行き、真の「成功したオタク」とはなんなのかを問う本作。釜山国際映画祭ドキュメンタリー・コンペティション部門出品、韓国のアカデミー賞と称される大鐘賞映画祭最優秀ドキュメンタリー部門ノミネート、そして2022年に韓国国内で公開され大きな話題を呼んだ。
今回解禁された予告編は、推し活が人生の全てだったセヨン監督による「私は○○のファンで、“成功したオタク”だった」という独白から始まるもの。そして「性的動画拡散の疑いで○○氏に逮捕状が出ました」という衝撃のニュース映像が挟まれる。突然「犯罪者のファン」になってしまった彼女は受け入れ難い現実に苦悩し、混乱の中自分は被害者なのか加害者なのか悩み、同じような経験をした友人たちに会いに行くことに。
あわせて解禁された本ビジュアルは、アニメーション作家、イラストレーターのぬQによるイラストがフィーチャーされたもの。「信頼や信仰、心の拠り所が、ある日を境になくなってしまった!どうしよう!という混乱やショック。魂を費やした時間や思い出が輝く間欠泉のように吹き出している様子を描きました」とぬQは語っている。また、ハングルを大胆に配したティザービジュアルに引き続きデザインを担当した潟見陽は「推しへ胸躍るときめきが裏切られ、複雑な悲しみを抱えることになったファンの気持ちを、絶妙なテイストでアーティストの ぬQさんが描いてくださり、そのイラストをかつてのアイドル雑誌のフレームに入れることで、”無邪気に幸せだったあの頃が残酷にさえ思えてくる”そんなファンの心境を刻印するように表現してみました」とコメントした。
また、新たな場面写真も解禁に。推しの影響で買ったはいいが壊れて仕舞い込んでいたギター、推しへの想いを綴ったかつての日記などが写されている。さらには、⻑年大切にしてきたグッズにお別れする儀式など、「誰かのファンというアイデンティティを持って生きてきた年月は、そうでなかった時代よりも⻑い」と語る監督の「推し活とその終焉」が垣間見えている。
本当の意味での「成功したオタク」とははたしてなんなのか?強制終了した推し活をあとに、ファンの声、そして自分自身の声を聞く番だ、とカメラを構え作られた本作をぜひ劇場で目撃してほしい。
文/鈴木レイヤ