『12日の殺人』公開に先駆け、ドミニク・モル監督作『悪なき殺人』が1週間限定で再上映!

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『12日の殺人』公開に先駆け、ドミニク・モル監督作『悪なき殺人』が1週間限定で再上映!

第75回カンヌ国際映画祭プレミア部門出品、第48回セザール賞で作品賞、監督賞、助演男優賞、有望若手男優賞、脚色賞、音響賞と最多受賞となり、さらに第28回リュミエール賞など各映画賞で高い評価を得た映画『12日の殺人』が3月15日(金)より劇場公開される。これを記念し、本作の監督を務めたドミニク・モルの前作『悪なき殺人』(19)が1週間限定で再上映されることが決定。あわせて『12日の殺人』の新場面写真も到着した。

【写真を見る】クララの親友ナニーを、ポーリーヌ・セリエが演じる
【写真を見る】クララの親友ナニーを、ポーリーヌ・セリエが演じる[c] 2022 - Haut et Court - Versus Production - Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

『12日の殺人』は、男性社会に切り込みながら、フェミニズム的テーマも擁するサスペンス。クララの殺人事件を追う主人公ヨアン(バスティアン・ブイヨン)率いる捜査班は、男性7人という男所帯。さらに容疑をかけられる容疑者らも全員男性。そんな男性ばかりの本作で女性が担う役割は、行き詰まる捜査に核心を突いていくこと。被害者のクララは21歳で容姿端麗。クララの男性関係から捜査していくと、彼女と関係を持っていた男たちは、一様にして彼女が「奔放な女性」だったことを示唆する。捜査陣は、間違いなく男性による犯行であると疑いもしない。

未解決だった事件のため、ヨアンたちを呼び出した女性判事
未解決だった事件のため、ヨアンたちを呼び出した女性判事[c] 2022 - Haut et Court - Versus Production - Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

しかしクララの親友ナニー(ポーリーヌ・セリエ)にクララの男性関係を聞くと「なぜクララが誰と寝たかを知ることがそんなに重要なのか」とヨアンに泣きながら問い詰める。そして事件から時が経ち、迷宮入りしていた捜査を男女関係に正解も間違いもないと諭し、男性による犯行だと疑わないヨアンらの偏った先入観を排した捜査再開を示唆する女性裁判官。新たに捜査チームに加わることとなった新人女性捜査官のナディア(ムーナ・スアレム)は、「罪を犯すのも捜査するのもほぼ男性って変ですよね。男の世界ね」とヨアンに投げかける。そんな彼女らの一言一言は、まるで事件を解決するかのように、ヨアンとほかの男性たちが気づかなかった部分を洗いだしていく。

ドミニク監督は、「男性による暴力事件を捜査するのはほとんどが男性です。もし殊勝にも映画やドラマで女性の捜査官が活躍している姿が描かれていたとしても現実は、いまだに“男社会”なのです。彼ら男性捜査官が自分の娘やパートナー、女性の友人や姉妹が犠牲になった事件を捜査することになったら何を思うだろうか?容疑者を、そして被害者をどう見るだろうか?これらすべての要素が彼らにどのような感情を引き起こすだろうか?映画を観る人がそういった疑問を抱くきっかけになり、いわゆる”実存的不安”を感じてもらえればと思います」と、物語の中核を女性に担わせ、現実の男社会について観る人が疑問を抱くきっかけとしてほしいという思いを込めていると語っている。

吹雪の夜に起きた女性殺人事件を、5つの視点で描いていく『悪なき殺人』
吹雪の夜に起きた女性殺人事件を、5つの視点で描いていく『悪なき殺人』[c]Jean-Claude Lother

そして今回『12日の殺人』の公開に先駆け、2019年東京国際映画祭にて観客賞と最優秀女優賞を受賞した『悪なき殺人』が、新宿武蔵野館にて3月8日(金)~14日(木)まで再上映することが決定。

未解決事件を追う刑事たちをリアルに描くだけでなく、現代社会に対するフェミニズム的な問題提起も同時に描く本作。『悪なき殺人』とあわせ、モル監督のメッセージを作品を通して受け取ってほしい。

文/サンクレイオ翼

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