期待の新人の強みは“動き”にあり!アンセル・エルゴートが『ベイビー・ドライバー』の秘密を語る。
“カーチェイス版『ラ・ラ・ランド』”と評され、全米でスマッシュヒットを続ける『ベイビー・ドライバー』(公開中)を引っさげ、主演のアンセル・エルゴートが初来日し、インタビューに応じてくれた。イギリスの俊英エドガー・ライト監督に抜擢された、現在23歳のアンセル。音楽に合わせてアクションやセリフが展開していく挑戦的な作りを、とてもエキサイティングでユニークだと語り、完全オリジナルで本作を生み出したエドガー・ライト監督を称賛した。
作品の見所となるのは、アンセル演じるベイビーが魅せる、華麗な運転さばきをはじめとしたリズミカルなアクションシーンの数々。すべてのシーンに振り付けがあり、普段の演技にそれを加えなくてはならないという難しい役柄について「ダンサーとしてキャリアをスタートしたので、今でも“動き”が自分の強みなんだ」と自信たっぷりに語り「撮影のたびにどんなシーンになっていたのかと楽しみだったよ」と付け加えた。
また、今回の映画に臨むにあたり、映画フリークとして知られるエドガーから勧められた作品はあるかと訊ねると、スティーブ・マックイーン主演の『ブリット』(68)や『トランザム7000』(77)といったカーアクション映画の名作。本作でオマージュを捧げている『俺たちに明日はない』(67)に加え、アメリカン・ニューシネマの名作『フレンチ・コネクション』(71)などをすぐさま挙げたアンセル。
さらに「エドガーはオフィスに大きなモニターを用意してくれて、そこで様々な映画のクリップを見られるようにしてくれたんだ」と、監督の映画愛を窺わせるエピソードを披露。「すぐにいろんな作品のクールなシーンが見られるようになっていて、見せられたクリップの数は100以上もあった」と語り、「エドガーは映画についてとにかくよく知っているから、あらゆる作品の良い部分を上手く取り入れることができるんだ」と褒めちぎった。
劇中のほぼすべてのシーンにクールな楽曲が流れ、登場人物と同じタイミングで観客も同じ曲を聴けるという独創的な作りで、音楽を大事にしている本作。登場する多くの楽曲の中で、アンセルが最も気に入っているのはThe Commodoresの「Easy」だそうだ。
「元々大好きで、特別な曲なんだ。最終オーディションの時に、自分の好きな音楽で、かつベイビーも好みそうな曲を選んでアドリブを演じなくてはならないときに、迷わずこの曲を選んだらエドガーもこれが好きだと言ってくれて。そこでこの曲を思わず口ずさむシーンをやったら、オーディションの空気がすっかり変わったよ。後日、役をもらって脚本を読んだら、この曲が加えられていたんだ!」と、ベイビーという役柄との運命的な出会いを後押しした楽曲への思いを語ってくれた。
こだわり抜かれたアクションや音楽、往年の名作映画のオマージュが詰まった『ベイビー・ドライバー』。期待の新人の活躍を見届けてほしい。【取材・文/久保田和馬】