「戦隊大失格」中村悠一が語る、ヒーローチームの“リーダー像”。レッドキーパーは「視聴者の気持ちに委ねるキャラ」

インタビュー

「戦隊大失格」中村悠一が語る、ヒーローチームの“リーダー像”。レッドキーパーは「視聴者の気持ちに委ねるキャラ」

「時代に合わせてリーダー像の描かれ方や印象が異なることも多い」

ストーリー上で描かれるレッドキーパー個人の性格や言動に加え、いわゆる“ヒーローチームのリーダー像”というお決まりとのギャップに、さらに苦労があったという。

「例えば、ブルーはニヒルとかクールで、ヒロイン的なポジションがピンクであるなど、特撮ヒーローのメンバーのキャラ付けで頭の中に刷り込まれている共通認識があると思います。ただ、レッド(=リーダー)になると誠実な青年だったり、熱血系で周りが止めないといけないくらい突っ走るような人物だったりと、みんなのイメージにブレがあるんですよね。特撮ヒーローものは、時代に合わせてチームリーダー像の描かれ方や印象が異なることも多いので、そういう意味では、自分が見てきて自分の中に書き込まれたリーダー像の出力が正しいのかどうかという部分で悩みました。極力、100人の視聴者がいたら、80人くらいが『ヒーローチームのリーダーだね』と思えるくらいに持っていきたいと思ったので、そこに苦労しましたね」。

毎週末に極秘で侵攻し敗れるという、大戦隊との秘密の協定を結ばされた怪人たち
毎週末に極秘で侵攻し敗れるという、大戦隊との秘密の協定を結ばされた怪人たち[c]春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会

一方で、劇中ではドラゴンキーパーの隠された裏側を描いており、いわゆる型どおりのヒーローチームなイメージではない。そのため、レッドキーパーに関しても、チームのなかでのリーダー感という部分よりも、個人のキャラクター性を意識して演じたそうだ。

「ドラゴンキーパーのメンバーとは、実はあまり絡まないし、描かれるエピソードも独立しているので、ヒーローチーム感というのは実は薄いんですよね。それこそ、次のドラゴンキーパーになるために鍛えられている候補生がいて、彼らには階級があり、死んだらポジションも入れ替わる。例えばメンバー内のブルーが死んだら入れ替わって新しいブルーになるわけですが、その時にレッドキーパーは驚いたり悲しんだりすることなく、『やあ、ブルー』とメンバーが入れ替わったことは気にせずに言葉をかけそうなキャラだと思っています。本心が描かれていないので、レッドがドラゴンキーパーのメンバーに対してあまり気を許していないというか、仲間意識は低そうだなと。なんだったら怪人側のほうがもっと仲がいいですよね。敵拠点からいつも仲間がやられているところを見て、仲間の心配をしているわけですから」。

第1話から、その異色な世界観に引き込まれる…!
第1話から、その異色な世界観に引き込まれる…![c]春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会

「作品の完成図が頭に浮かんでいるのは監督」

このように、謎な部分が多いがゆえに、焦点の絞りづらさが多いレッドキーパーをしっかり演じることができたのは、監督のさとうけいいちとの現場でのやり取りがあったからだった。

戦隊壊滅を目論む怪しさ満載で謎だらけの戦隊員、錫切夢子
戦隊壊滅を目論む怪しさ満載で謎だらけの戦隊員、錫切夢子[c]春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会


「物語が進むとレッドキーパーはオフの顔も増えていくので、カメラが回っていないところではどんな言葉遣いなのか、どんな圧をかけてどんな言い方をするのかの判断がさらに難しくなっていきましたね。相対した敵に対して、まず怒りが出るのか?それとも『おもしろいな』と思ってワクワクした感じなのか?毎回いろいろ考えたなかで演技しています。迷ってはいるんですが、監督のさとうけいいちさんが音響監督も兼ねられているので、収録の際に僕が『こんな感じかな』と投げたものをOKなのか、それとも違うのかを演出的に判断してくれる。だから、さとうさんがねらっているところに演技が入れば良しとしているところが多かったです。やはり、作品の完成図が頭に浮かんでいるのは監督だと思うので、『僕としてはこう思う』と言い続けても完成図からは遠ざかってしまう。そこはしっかり意向に従わせてもらいました」。

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