シュー・グァンハン、清原果耶とのW主演作『青春18×2 君へと続く道』は大人の魂が宿っている映画とアピール!藤井道人監督は映画作りの楽しさを再認識
藤井道人監督初の国際プロジェクト、日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』(5月3日公開)の来日記念記者会見が3月27日、目黒雅叙園にて開催され、シュー・グァンハン、清原果耶、藤井監督が出席した。
グァンハンと清原がW主演を務める本作は、台湾で話題を呼んだジミー・ライの紀行エッセイ「青春18×2 日本慢車流浪記」を原作に、日本と台湾の国境と“18年”の時を超えて初恋の記憶をたどる旅を描く。主人公ジミーを演じるグァンハンは、2023年の主演作がヒットを記録し、台湾最大の映画賞“金馬賞”の主演男優賞にノミネートもされた実力派。『君たちはどう生きるか』(公開中)の台湾吹替版ではアオサギ役の声を担当するなど、幅広く活躍している。もう一人の主人公アミ役を清原が演じ、道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳が共演している。
日本が大好きだというグァンハンは「大変興奮しています、とてもうれしいです」と来日に笑顔。いち早く台湾で公開されたことに触れ、「藤井監督をはじめ、みなさんが台湾に来てくれました。今度は僕が日本に来られたので、お互い旅をしているような気がします」と喜んだ。日本の街をブラブラするのが好きというグァンハンは「なにより食べ物がおいしいです!」と日本好きをアピールし、「今回は役者として日本に来たので、いろいろと知らないところに行くことができてラッキーでした」とニッコリ。特に印象深かった場所は長野県松本市と福島県只見町だったそうで、「松本は水が綺麗で、清らかな感じがすごく好き。只見は大自然が美しくて壮観でした」とうっとりし、カメラが回っていない時には、みんなでスマホを取り出し、たくさん風景の写真を撮ったと思い出を明かした。
清原は3週間ほど台湾に滞在して撮影に挑んだ。「初めての環境に慣れるまで時間がかかるかなと思っていたのですが、グァンハンさんをはじめ、キャスト、スタッフのみなさんが温かく迎えてくださったので、緊張しすぎることもなく、優しく柔らかな気持ちで毎日現場に行けました。ありがたかったです」と感謝。撮影中の楽しみは「ご飯!」と即答の清原。「朝昼晩、時には夜食もあったのですが、毎回7から8種類のお弁当が用意されていて、しかも温かくて。日本だとお肉とお魚と2種類くらいなので」と日本と台湾でのロケ弁事情に触れ、「バリエーションが豊富で、毎日ご飯のことを考えながら撮影していました」とおいしいご飯が活力源になっていたと微笑んだ。
本作は台湾、日本以外にも香港やマレーシア、韓国での上映も決定している。「映画は世界共通の文化。たくさんの方に届くことをただただ願っています」という清原のコメントに藤井監督は「映画のテーマのひとつは旅。自分たちが作った1本の映画がツアーのように(各地を回ることは)とても感慨深いです」としみじみ。撮影前は日台合作映画で言葉が通じないことに不安があったそうだが、「言葉が違うからこそ、分かり合おうとする濃度がすごい。通訳の人も、より理解しようとしてくれて、コミュニケーションに濃密さを感じました」と充実感を漂わせた。時間は倍かかるが映画は言葉を超えたものだと改めて感じたと振り返り、「映画を作るって仕事だけど楽しいんだなと再認識できる時間でした」と笑みを浮かべた。
グァンハンが覚えた日本語をいくつか披露。「ごはん食べました?」「おはようございます」「あざーす!」と並べ、「『あざーす』は藤井監督から教わりました」とのこと。口癖を真似された藤井監督が照れ笑いする隣で、グァンハンは「本当はもっとたくさんあるけれど、いま思い出せるのはこのくらいです」とはにかみながら報告。会見の最後のコメントでは「青春、ラブストーリーを描いているけれど、それだけではありません。映画には大人の魂が宿っています。(人生の)旅とはなんなのかを考える、旅に出て過去を振り返るという機会を提供してくれる素晴らしい作品です」と映画をアピールしていた。
取材・文/タナカシノブ