『劇場版ブルーロック』島崎信長&浦和希が語り合う、凪視点だから生まれる潔世一の“脅威”「同じシーンの印象がこんなに変わるんだ」

インタビュー

『劇場版ブルーロック』島崎信長&浦和希が語り合う、凪視点だから生まれる潔世一の“脅威”「同じシーンの印象がこんなに変わるんだ」

国内から集められた300人の高校生FW(フォワード)が、たった一人“世界一”のエゴイストストライカーを目指してしのぎを削り合う「ブルーロック」。サッカーを題材にしながらも、そこに描かれるのは友情や熱い青春――だけではない。世界一のストライカーになれるチャンスの代償として、そこからこぼれ落ちた選手には二度とチャンスが与えられない、そんな“デスゲーム”の要素をもあわせ持つ異色のスポーツ漫画として注目を集め、2022年にはテレビアニメ化、2023年には舞台化もされた。

「ブルーロック」の主人公である潔世一は無名の選手であり、ストライカー育成のためのプロジェクト“ブルーロック(青い監獄)”を通して大きく成長していく。作中で圧倒的なサッカーセンスを発揮する、ライバルである凪誠士郎の存在は、潔の成長の起爆剤となり、同時に潔の成長もまた凪を覚醒させるトリガーとなる。シリーズ初の映画化となる『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』(公開中)は、凪を主人公に据え、「ブルーロック」を凪の視点から描く作品だ。

MOVIE WALKER PRESSでは、今作の主人公である凪を演じる島崎信長と、ライバルである潔を演じる浦和希の二人にインタビューを敢行!キャラクターの立ち位置が異なることによる変化や、本作の魅力と見どころについて聞いた。

「劇場版にテレビシリーズ第2期と、作品が続いていくことが純粋にうれしかった」(浦)

凪役の島崎信長と潔役の浦和希が、『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』を語り尽くす!
凪役の島崎信長と潔役の浦和希が、『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』を語り尽くす!撮影/興梠真穂

――劇場版と、テレビシリーズ第2期の制作が同時に発表され、ファンにとってはとてもうれしい知らせでした。お二人はこの決定をどのように知り、どう感じましたか?

島崎「僕はなんとなく察していたというか、スタッフさんの雰囲気や今後のスケジュールの相談をいただく過程で、おそらく続くんだろうなと。逆に浦くんには、しっかり情報統制されていた気がします(笑)」

浦「そうなんです!僕は本当に直前まで知らなくて、ある取材の際に『第2期と劇場版が決まりましたが…』という質問をいただいて、『そうなんですか!?』ってなりました(笑)。現場では『劇場版や第2期をやりたいね』という話もしていたし、ファンの皆さんからとても愛されている作品だとも思っていたので、素直にうれしかったです。その時はまだテレビシリーズ第1期の最終話を収録していなかったんですが、『これで終わりなんだ…』ではなく『まだまだ続くぞ!』と思えたからこそ、テレビシリーズ第1期最終話のラストシーンはまた違った演じ方ができました」

島崎「ただ、『EPISODE 凪』が劇場版になるというのは意外でした。テレビシリーズの次のエピソードである『U-20日本代表戦』を劇場でやってもきっと映えるし、カッコイイだろうなと思っていたので。でも凪が主人公になるという点では『頑張らなきゃ!』と思ったし、なによりチームVのメンバーがすごく好きだし、盤石のメンバーだったので、楽しみな気持ちも大きかったです」

島崎が演じる凪は、サッカー歴半年ながら桁外れのセンスを誇る
島崎が演じる凪は、サッカー歴半年ながら桁外れのセンスを誇る[c]金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会

――『EPISODE 凪』のアフレコ中の思い出や、印象に残った出来事はありましたか。

浦「今作では潔が主人公ではないということもあり、これまでとは少し演出が変わっていました。具体的には潔の“底知れなさ”とか“余裕”とか、凪にとっていかに強そうで、“脅威”になれるかというところでした。テレビシリーズと同じシーンを再び演じるというのは貴重な経験でしたし、信長さんや監督とも会話しながら生まれたお芝居だったなと思います」

島崎「印象に残ったといえば、やっぱり斬鉄かな(笑)。斬鉄のキャラクターや言動は、ウケようと思ってやると絶対スベると思うんですよ。でもあの興津(和幸)さんが本気でやってくださるからこそ、毎回本当におもしろくて。みんなが話している裏で一人で斬鉄がなにかを言ったりするところも全力でやってくださったのは、さすが興津さんだなって思いました」

「“天才”というフィルターを外した、生身の凪を演じました」(島崎)

テレビシリーズとは違って見える潔の強烈なエゴにも注目!
テレビシリーズとは違って見える潔の強烈なエゴにも注目![c]金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会

――テレビシリーズ、劇場版と演じてこられたなかで、ご自身のキャラクターの捉え方や演じ方が変化した部分はありますか。

浦「今回は凪にフォーカスした作品ということで、『凪から見た潔』が描かれています。そんななかでも潔の言葉や行動がやっぱりどこか“主人公”っぽくて…。この“主人公”らしさを後に続くシリーズでももっと引き出したいし、自分も演者としての自覚をもっと持つべきだなと感じて、声優としてももっと成長していきたいと思わされるきっかけになりました」

島崎「僕は凪について捉え方が劇的に変わったということはありませんが、浦くんが話してくれたのと関連して、『視点が違うとこんなに変わるんだ』というのは感じました。テレビシリーズでの凪は潔を主軸にして描かれるので、得体のしれない敵、スゴい天才というフィルターをかけられていることも多かったんですよ。本当はもっと疲れているかもしれない、余裕がないかもしれない、もっと熱くなっているかも…。でもそれを見せないことで凪のスゴさを感じてもらえるような演出になっていましたが、『EPISODE 凪』ではそれが逆転しているんですよね」

大迫力で描かれる試合シーンは必見!
大迫力で描かれる試合シーンは必見![c]金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会


――浦さんのお話にもありましたね。今回は潔が凪にとって底の知れない存在になっている。

浦「今回、潔を演じるにあたっては、テレビシリーズの時と違って『凪が聞いている』ことを意識しています。潔が話しているだけならこういうニュアンスだけど、凪に対する圧になったり、凪になにか働きかけるための潔の台詞なので、あえて少し余裕のある感じになっているところもありますね」

島崎「僕は、テレビシリーズの時にかけていたフィルターを少しずつ外していて、『本当はこのくらい息切れしている』『本当は熱くなっている』といった生身の凪として演じています。テレビシリーズの同じシーンと見比べてもらっても楽しいのではと思います」