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藤井道人が自身初の国際プロジェクトをチャン・チェンと語り合う「この物語の感動を次世代の役者やフィルムメーカーに伝えたい」

インタビュー

藤井道人が自身初の国際プロジェクトをチャン・チェンと語り合う「この物語の感動を次世代の役者やフィルムメーカーに伝えたい」

「日本人が見ても、どこか懐かしさを覚えるような街並み、寺、森、海…いろんなものがある場所は台南」(藤井)

――36歳のジミーが日本を訪ねて電車に乗って旅をしているなかで、雪国に入るシーンがあります。台湾の観客のなかには、このシーンで思わず声を出してしまう方がいらっしゃるそうです。

36歳のジミーは旅の途中で、18歳のバックパッカー、幸次と出会う
36歳のジミーは旅の途中で、18歳のバックパッカー、幸次と出会う[c]2024「青春 18×2」film partners

藤井「うれしいです。やりたかったシーンの1つです。僕らにとって雪って煩わしいものというか。雪のせいで骨折したこともありますし、すっごい嫌いなんですけど、台湾の方たちはやっぱり雪がすごく好きです。雪は映画的にもすごくいい。雪の見せ方を今回は大事にしたくて、あのシーンはすごく苦労しましたけど、そう思ってもらえてよかったです」

――結構撮影に時間はかかりましたか?

藤井「どちらかというと、あの瞬間が1日に2回しか撮れないっていう。それが、そこまでの準備で、何分に何秒後に(撮影チャンスが)来ますみたいな。だから、じゃあ10秒前、用意、スタートみたいな、そのタイミングのリハーサルとかが大変でした。もう1回勝負みたいな感じです」

――日本の景色もとてもきれいですが、ロケハンは苦労しましたか?

藤井「時間かかりましたね。映画は原作のジミーさんが書いてくれた紀行エッセイとはちょっとルートが違うんですよね。ただ、そのルートで本当にこのようにたどり着くのかとか、そういう検証っていうのは、全部乗ってみて、止まってみて、結構大変でしたね」

ジミーとアミのデートにつれて、台湾の街風景も映しだす
ジミーとアミのデートにつれて、台湾の街風景も映しだす[c]2024「青春 18×2」film partners

――台湾でのロケハンはいかがでしたか?

藤井「台湾は日本の何十倍も大変だったね。この原因は僕です!原作の舞台は嘉義(台湾南部、台南の北に位置する地域)なんです。嘉義に2回ロケハンに行ったのに、僕が『台南がいい』って言いだしました。嘉義もすばらしい街だけど、やっぱり日本人が見ても、どこか懐かしさを覚えるような街並み、寺だったり森だったり海だったり、いろんなものが台南のほうが多くて。『どう思う?』ってそのロケーションのスタッフに聞いたら、『私も台南がいいと思う』と言ってくれたから、じゃ台南で。そこからまた探し直したので、僕のせいですごい迷惑をかけました」

台湾パートの舞台は、藤井道人監督のゆかりのある台南
台湾パートの舞台は、藤井道人監督のゆかりのある台南[c]2024「青春 18×2」film partners


「我々2人が手を組むことにより、数倍の効果を生みだせたと思います」(チャン・チェン)

――ジミーが日本で出会った居酒屋店主のリュウもすごく印象に残っていますが、その役をなぜジョセフ・チャンさんをキャスティングしたのでしょうか?

藤井「僕はジョセフさんの大ファンです。リュウというキャラクターは、実はジミーが日本で初めて出会う旅人。彼がジミーに同じルーツを持つということにすごく意味があるという。僕はジョセフさんの映画とか、グァンハンさんも出演しているドラマ『罪夢者』とかが好きで、ダメ元でオファーしてみたら、出てくれました。そこはプロデューサーパワーですね(笑)」

台湾の実力派俳優、ジョセフ・チャンは、ジミーが松本で出会った居酒屋店主のリュウを演じる
台湾の実力派俳優、ジョセフ・チャンは、ジミーが松本で出会った居酒屋店主のリュウを演じる[c]2024「青春 18×2」film partners

――チャン・チェンさんはどのようなプロデューサーパワーを使ったのですか?

チャン・チェン「このプロジェクトの最初に、藤井監督に参加していただくことになり、そこから夢のようなチームへの道が築かれました。僕は藤井監督の作品『新聞記者』『ヤクザと家族』とかが大好きで、個性があり実力がある新世代の監督だと思っています。今回の『青春18×2』は日台合作の作品ですから、純愛ロードムービーに多くの異なるキャラクターが次々と登場するような、すばらしいキャスティングにしたいと思っていました。ジョセフさんに限らずですが、ジミーが出会う人々、台湾の家族も含め、皆さんベテランの実力派の俳優です。

黒木瞳がアミの母、裕子役を務める
黒木瞳がアミの母、裕子役を務める[c]2024「青春 18×2」film partners

今回、黒木瞳さんと黒木華さんという“W黒木さん”が出演していただいています。お2人とも僕の大好きな俳優です。これは偶然であり、ご縁であるとも思います。黒木瞳さんは、一昨年の金馬奨で台湾にいらした時に食事をして、直接オファーをしました。黒木瞳さんも藤井監督作品が大好きだということで、その場で監督に電話をして、出演が決定しました。そして、今回の楽曲はMayday(台湾の人気バンド)とMr.Childrenです。このような座組を築けたのは監督のおかげだと思います。そのために皆さんが参加してくれました。今回我々2人が手を組むことにより、数倍の効果を生みだせたと思います」

――エグゼクティブ・プロデューサーとして、人脈を駆使し仕事をするのは、チャン・チェンさんの普段のスタイルとは違ったりするのでしょうか?

チャン・チェン「このような立場で仕事をするのは、いまがちょうどいいタイミングですね。映画はある種、“継承”の意義があります。我々は次世代の監督や役者の間でいい橋渡しとなる必要があります。本作はすばらしい模範だと思います」

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