初心者×映画ファン×原作ファンが魅力を徹底分析!映画『陰陽師0』は“シャーロック・ホームズ”のような胸アツバディムービーだった!
平安時代に実在した陰陽師、安倍晴明の活躍を描いたベストセラー小説「陰陽師」シリーズを基に、「アンフェア」シリーズの佐藤嗣麻子が監督、脚本を手掛けた『陰陽師0』(公開中)。山崎賢人演じる若き日の安倍晴明と染谷将太演じる源博雅が、いがみ合いながらも互いを認め合い、次第に友情を育んでいくバディ感が見どころだ。
MOVIE WALKER PRESSでは、原作ファンのみならず「陰陽師」初心者にも楽しめる本作の魅力を深掘りすべく、編集部座談会を実施。原作はもちろん映像化作品はすべて通っている編集部の三浦、佐藤監督の最新作を心待ちにしていた高橋、テレビアニメ「呪術廻戦」などで呪術に興味を持ち始めたという「陰陽師」初心者の魚田が、それぞれの切り口で本作の魅力を語り合った。
「“印”のシーンでの山崎さんの指がめちゃくちゃ長くて、綺麗すぎてずっと見ていたくなりました」(魚田)
呪いや祟りから都を守る陰陽師の学び舎であり行政機関でもある「陰陽寮」が政治の中心だった平安時代。天才と呼ばれる呪術の才能を持ちながら、陰陽師になる意欲も興味もない人嫌いの変わり者だった安倍晴明(山崎)は、貴族の源博雅(染谷)からある依頼を受ける。それは、皇族の徽子女王(奈緒)を襲う怪奇現象を解明するというもの。真相を追うなかで、平安京を巻き込む陰謀と対峙していく。
――最初に、安倍晴明が陰陽師になる前の物語を実写映画化したことにどう感じましたか?
三浦「『陰陽師』はずっとなにかしらで映像化している作品なので、今回は始まりの物語が描かれるのかとワクワクしました。しかも若き日の晴明は、原作でも描かれてなかった部分だったので、山崎さんが演じる晴明はすごく躍動感のあるエネルギッシュなものになるのかなと想像していました。原作の晴明の設定年齢は40歳ぐらいで成熟したキャラクターだったので、自分のやるべきことをわかっている天才としての晴明を見てきた身としては、若いからこその悩みを持つ晴明の姿がとても新鮮でした」
魚田「Netflixでアニメ版が配信されていたり、『呪術廻戦』など日本の呪術を扱った話題作もあったので、『陰陽師0』をやると聞いた時はとてもタイムリーだと思って、ぜひ観たい!と思っていました。“0(ゼロ)”というタイトルにも興味を持ったし、山崎さんが演じるならかっこいい呪術が見られるはず!と期待しかありませんでした」
高橋「なにより僕は佐藤嗣麻子監督ファンなので、『最新作、ついにきたか!』という気持ちがありました。佐藤監督と夢枕先生の仲がいいことを知っていたのですが、まさか『陰陽師』を一緒にやるとは思わなくて。どんなエピソードをどう描くのかがすごく気になりましたね」
――そんな期待のなか、『陰陽師0』を鑑賞してみていかがでしたか?
魚田「なんといっても山崎賢人さんがめちゃくちゃカッコよかったです。そして美しかった!“印”のシーンでの指がめちゃくちゃ長くて、綺麗すぎてずっと見ていたくなりました」
三浦「指だけが映った特報でファンが『山崎賢人だ!』とわかるくらいだからね(笑)」
高橋「あとポスタービジュアルにもある山崎さんの長髪は、本編でもファサッとなる感じがすごくよかったです。いままで見たことない山崎さんで、近年の役柄とは違った肌の白い感じが新鮮でした」
魚田「山崎さんの着物がオーバーサイズなので、それをルーズに着ることですらっと見える。まずシルエットからすてきでした」
三浦「僕は『氷菓』のころの山崎さんを思い出しました。あの雰囲気の山崎さんが好きという人にはぜひおすすめしたいですね。嫌味のない晴明という役柄も、山崎さんすごく合っていたと思います」
「晴明と博雅、コンビとしての空気感がよかったです」(三浦)
――山崎さんは本作でも高い身体能力を活かしたアクションを披露していましたね。
高橋「無重力のような、しなやかなアクションがすごかったです」
魚田「確かに、あの重力を感じさせない身のこなしはすごかったです。あと、山崎さんの体幹がすごすぎて、常に姿勢がきれいなのにも目が離せませんでした」
三浦「やっぱり晴明と言ったら、お能のような優雅な動きというイメージだったので、アクロバティックな動きをする晴明というのは発想がなかったです」
高橋「晴明のアクションが、終盤まで逃げ続ける展開なのもおもしろかったです。馬で逃げたり、森の中に逃げたりといろんな逃げ方を見せてくれて。そして、『待ってました!』なVFX全開の龍のバトルは圧巻でした」
魚田「『安倍晴明が命ず』と龍を召喚するところは、セリフも含めて一番かっこいいと感じた大好きなシーンです。長い呪文も山崎さんだとずっと聞いていたくなりますね(笑)」
三浦「炎の龍に対して晴明の召喚した水の龍が戦う構図は、陰陽師というのがエレメントや元素的なものを操るものだから、そこから逸脱していないのがとても良かったです」
――迫力のアクションシーンと共に、晴明と博雅のバディ感も本作の見どころでした。
三浦「このバディ感は、原作の時点で平安版ホームズとワトソンをやるというのが念頭にあるとは思いますが、この映画では近年のロバート・ダウニー・Jrやベネディクト・カンバーバッチが演じてきた『シャーロック・ホームズ』のような、新しい描き方がハマっている感じがありました。コンビとしての空気感がよかったですね」
魚田「私は、晴明が博雅に『ありがとう』と言うシーンはかわいくてキュンとしました。いつも一人で孤高な存在だった晴明が、ちょっとずつ博雅と絆を深めていく。まだ学生で陰陽師としても未熟だけど、博雅といることでちょっとずつ成長していくなかで感謝を伝えるシーンは胸アツ!青春映画という感じで楽しめました」
高橋「夢枕先生も『青春映画としてもよくできている』と仰っていました」
三浦「確かに青春映画要素はすごくあったよね。全体の仕上がりはアクションも全開で派手なんだけど、観終わるとBUMP OF CHICKENの主題歌も含めてしっとりした感じもありました」