『トラペジウム』で描かれる、アイドル活動の悲喜こもごもに3時のヒロインも共感!「キラキラしたことが本当に一夜で始まって、全然実感がなかった」
「客観的な視点で観て、鼓舞してくれる大人が周りに1人いるだけでも秩序が保たれる」(福田)
――福田さんはアイドルのプロデュースもされていますが、東西南北に必要だった要素はなんだと思いますか?
福田「自分がメンバーじゃないからこそ言えることって、結構いっぱいあるんですよ。でも、東西南北にはプロデューサーが実質不在じゃないですか。ゆうがプロデューサーも兼ねているようなものだから、ああいうふうになるんですよね。客観的な視点で観て、鼓舞してくれるような頼れる大人が周りに1人いるだけでも、秩序が保たれた気がします。それこそ私も昔は、ゆうちゃんみたいに『なんで私ばっかり裏方作業しなきゃいけないの?』って、不満に思っていたような時期もあったので。でも2人には、私にはない“華”があるから、フィーチャーされるのはいつも2人だし…みたいなコンプレックスもあったかもしれない。ある時期からは、いい意味で割り切れるようになってきて。半分くらい諦めて、楽屋の居心地をよくすることに努めるようになってからは、上手くやれるようになった気がします」
ゆめっち「まさに、いい意味で麻貴がうちらに期待しなくなってくれたから、いまはそれぞれがのびのびやれているというか。それぞれの価値観の違いをお互いに認め合うことが、グループ活動を円滑に進めるうえではなによりも大事なんだなって、この映画を観て学びました」
「4人は高校生でアイドルに挑戦したからこそ、自分が本当にやりたいことが明確になった」(かなで)
――ちなみに、『トラペジウム』では、メンバーそれぞれの進路や夢も描かれますし、原作者の高山さんも、元アイドルにして作家というキャリアを歩まれています。「芸人になる」という夢はすでに叶えた皆さんが、いま新たに抱く夢はありますか?
福田「私は文章を書くことも好きなので、いつか本を出せたらいいなと思っているんです。それこそ高山さんの『トラペジウム』みたいに、それが映画化されたら最高だなって(笑)。とはいえ、かれこれ1年以上エッセイを更新していないので、今年はちゃんと書きます!」
ゆめっち「3時のヒロインって、歌ったり踊ったりするのも得意なチームだと思うんですよ。3人そろった時のうちらの爆発力って、エグイものがあるじゃないですか(笑)。まだ世に出しきれていない3時のヒロインの魅力を開花させて、これからはアーティストとしても一花咲かせたいと思っています。誰も見たことがない3時のヒロインをお見せします!」
かなで「私は舞台を観るのが大好きで、『いつかミュージカルに出たい!』という夢があるんです。去年ブロードウェイのミュージカルを観に行ったのですが、個性全開でエネルギッシュに表現されている海外のパフォーマーの方たちの姿を目の当たりにして、日頃スベって病んでる自分のことが、本当にちっぽけに感じたんです。私も観た人に、『3時のヒロインみたいになりたい』と思ってもらえるくらいキラキラしたいです」
――では、最後に改めて『トラペジウム』の見どころをお願いします。
福田「いま振り返ると学生時代の思い出は輝いて見えるけど、当時は悩んだりドロドロしていた部分もあったりしたと思うんです。そういう意味でも、アイドル好きな方はもちろん、アイドルに興味がない人も、自分に置き換えて共感できる要素がある映画だなと思いました」
ゆめっち「本当にキラキラした甘い蜜だけじゃなく、ゆうちゃんたちがいろんな挫折を乗り越えて成長していく姿が観られる映画ですよね。青春時代、自分自身はなににも挑戦しないまま大人になってしまったという人でも、彼女たちと一緒にもう一度、夢が見られるんじゃないかなと。アイドルだけじゃなく、いろんな人生の選択肢が詰まっているから、『たとえ上手くいかなかったとしても、別に道は1つだけじゃないんだな』って、きっと励まされるはず!」
かなで「東西南北の4人って、高校生でアイドルに挑戦したからこそ、自分が本当にやりたいことが人生の早い段階で明確になったんだと思うんです。このまま突き進むか、別の道を歩むか、観る人も自分自身の夢を見つめ直すきっかけになるんじゃないでしょうか」
取材・文/渡邊玲子