分断されたアメリカを描く『Civil War』が北米No. 1発進!A24作品のオープニング興収新記録を達成

コラム

分断されたアメリカを描く『Civil War』が北米No. 1発進!A24作品のオープニング興収新記録を達成

先週末(4月12日から4月14日)の北米興収ランキングは、『エクス・マキナ』(14)と『MEN 同じ顔の男たち』(22)につづいてアレックス・ガーランド監督がA24とタッグを組んだディストピア映画『Civil War』が初登場で1位を獲得した。

【写真を見る】現実のアメリカ国内の分断を想起させるテーマで賛否両論!A24最大のヒットをねらえるスタートに
【写真を見る】現実のアメリカ国内の分断を想起させるテーマで賛否両論!A24最大のヒットをねらえるスタートに[c]Everett Collection/AFLO

A24としては歴代最高額となる5000万ドルの制作費(マーケティング費を除く)が投じられ、A24最大規模の3838館で封切られた『Civil War』。初日から3日間の興収は2553万ドルと、今年公開されて初登場1位を獲得し作品としては2番目に低いオープニング興収ではあるが、事前の予測を上回ってA24作品のオープニング新記録を樹立。また、『エクス・マキナ』の北米累計興収をわずか3日で超えることにも成功している。

映画の舞台は国内が分断され内戦が勃発したアメリカ。フォトジャーナリストのリー・スミス(キルスティン・ダンスト)が、同僚のジョエル(ワグナー・モルア)とジャーナリスト志望のジェシー(カイリー・スピーニー)と共に戦禍をくぐりぬけてワシントンD.C.へと向かう旅路を描いた物語。折しも次期大統領選をめぐる国内の分断が進もうとしているなかでの公開とあって、大きな注目を集めていた一本だ。

キルスティン・ダンスト演じるジャーナリストが内戦をくぐりぬけてワシントンD.C.へと向かう『Civil War』
キルスティン・ダンスト演じるジャーナリストが内戦をくぐりぬけてワシントンD.C.へと向かう『Civil War』[c]Everett Collection/AFLO

「The Hollywood Reporter」の報道によれば、観客の半数以上が18歳から34歳の年齢層であり、全体のおよそ3分の2が男性客。また出口調査によれば、観客のイデオロギーはリベラルと保守がちょうど半々。保守層の多いエリアでもリベラル層の多いエリアでも偏りなく好調な成績を収めているようで、観客の関心を惹いた理由としては、アクション映画であること、A24作品であること、そして政治的ディストピアというテーマ性の三者が拮抗しているとのこと。

批評集積サイト「ロッテン・トマト」では、批評家からの好意的評価の割合は80%で、観客からの好意的評価の割合は76%と、大絶賛一色ではなく賛否両論を巻き起こしている点でこの映画のねらい通りといえるだろう。興行的にはすでにA24作品の北米歴代7位に浮上。現在1位の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)の7700万ドルに届くかどうかはまだ読めないが、今年は“エレクション・イヤー”なだけに長期間にわたって注目を集める作品になることは確実だ。

公開3週目の『ゴジラxコング 新たなる帝国』は2位!『キングコング 髑髏島の巨神』超えが目前
公開3週目の『ゴジラxコング 新たなる帝国』は2位!『キングコング 髑髏島の巨神』超えが目前[c]Everett Collection/AFLO

公開3週目を迎えた『ゴジラxコング 新たなる帝国』(4月26日日本公開)は、前週からさらに興収が半減したものの、累計興収は1億5000万ドルを突破。なんとか3位に粘った『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』(日本公開中)は興収1億ドル突破の大台へ向けて地道に興収を積み上げており、次週末にも到達する見通しとなっている。


そして8位には、今年で公開20周年を迎えた『シュレック2』(04)のリバイバル上映がランクイン。1512館で3日間興収145万ドルを記録。3年前のコロナ禍の名残が残るなかで再上映が行われた第1作『シュレック』(01)の20周年記念上映は49万8000ドルの興収しかあげられなかったが今回は絶好調。すでにシリーズで2番目の興収を記録している『Kung Fu Panda4』と共に、ドリームワークスアニメの底力を発揮しているようだ。


文/久保田 和馬

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