イタリアの名匠ナンニ・モレッティ監督最新作『チネチッタで会いましょう』ティザービジュアル&予告映像

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イタリアの名匠ナンニ・モレッティ監督最新作『チネチッタで会いましょう』ティザービジュアル&予告映像

カンヌ、ヴェベチア、ベルリン3大映画祭を制し、カンヌ国際映画祭コンペティション部門8作品連続選出されているナンニ・モレッティ監督の最新作『チネチッタで会いましょう』が11月22日(金)に全国公開されることが決定。あわせてティザービジュアルと予告映像が解禁された。

【写真を見る】劇中ではナンニ・モレッティ自身が映画監督の主人公ジャンニを演じている
【写真を見る】劇中ではナンニ・モレッティ自身が映画監督の主人公ジャンニを演じている[c]2023 Sacher Film–Fandango–Le Pacte–France 3Cinéma

『ローマ法王の休日』(11)、『3つの鍵』(21)のモレッティ監督の最新作は、時代の変化についていけずに痛い目にあった映画監督が失意の後に大切なことに気づくヒューマンドラマ。フェデリコ・フェリーニやクシシュトフ・キェシロフスキ、マーティン・スコセッシなど映画へのオマージュを交えながら、ところどころに自身の過去作品を引用。変化の激しい世界に適応することの難しさをユーモラスに描きながらも、より良い未来を夢見ることを忘れないという温かなメッセージが込められている。作家性と娯楽性とを見事に両立し、独特のユーモアとやさしい眼差しが相互に観客をつかむ、モレッティ作品の魅力が満喫できる作品に仕上がっている。先日発表されたダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では、作品賞、監督賞、脚本賞を含む主要7部門でノミネートされている。

イタリアの映画監督ジャンニ(モレッティ)は、チネチッタ撮影所での新作撮影を目前に控えている。プロデューサーの妻が40年、いつもそばにいて映画を制作してきた。頭の中は新しい映画のアイデアでいっぱいだ。だが、順調だと思っていたのはジャンニだけだった。女優はジョン・カサヴェテスを持ち出し演出に口出し、あろうことか政治映画をラブストーリーだと言い出す始末。若い俳優のトンチンカンな発言にはあきれ言葉を失う。娘が紹介してくれたボーイフレンドは自分ほどの年齢の男性だという。あらゆることに腹が立ち戸惑うばかりのジャンニ。誰にも理解されず、1人帰宅し目覚めると妻に別れを告げられてしまう。さらに仏のプロデューサーは詐欺師とわかり、資金が枯渇し撮影は止まってしまう…。

真ん中にいると思っていたらはみ出してしまっていた映画監督の、過去の人生と訣別するという物語の本作はイタリアで大ヒットを記録。モレッティ自身が製作、脚本、出演も兼ね、共演にはモレッティ作品の常連マルゲリータ・ブイや、俳優であり監督のマチュー・アマルリックなどが脇を固める。

解禁されたティザービジュアルでは、モレッティ演じる主人公のジャンニが電動キックボードに乗ったイラストが描かれ「すべてのおかしいは幸せに通ず」というコピーが添えられている。予告映像では、5年振りの映画撮影が順調にスタートしたかと思われた映画監督のジャンニに、長年連れ添ったプロデューサーの妻から突然別れを告げられ、撮影資金を調達していたフランスのプロデューサーは警察に捕まってしまう様子が切り取られている。


「映画には、私たちに明るさと幸せになりたいという気持ちを再発見させる魔法の力がある。どんなことがあっても」とメッセージを寄せているモレッティ。彼の集大成とも言える本作をスクリーンで堪能しよう。

文/スズキヒロシ

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