「脳みそくれ～」フィギュア業界は“バタリアン戦国時代”だ！【豆魚雷の「遊星からの物欲X」】

初の公式フィギュア化に、世界中のファンが感涙

さて、ここからはキャラクターショップの豆魚雷らしく、『バタリアン』アイテムの変遷についてご紹介していきます。

記念すべき初の公式バタリアンフィギュアが発売となったのは、意外にも映画公開から30年近く経ってからのことでした。ホラーやSF、ヒーローに特化したフィギュアショップ「アモックタイム」がオリジナルアイテムとして、タールマンのフィギュアを2009年9月に発売すると発表すると、世界中のファンたちはこぞって、それはそれは美しい涙を流したといいます。しかしそこから数年間なんの音沙汰もなく、ファンたちも「発売中止か…」と諦めかけた2012年2月、タールマンはついにリリースされ、世界中のファンから二度目の涙を搾り取りました。

実際のアイテムを見てみると、ジオラマ風のベースにはドラム缶に眠るタールマンがいるので、実質タールマン2倍マシですがそこはご愛敬。本アイテムはその後パッケージの色味を変更して再びリリースされるなど好評を博しましたが、これ以降バタリアンフィギュアはふたたびリリースのない、不遇の時代に突入してしまいます。

表情も変わる！巨大タールマンが襲来

時は流れて2022年、その時は突然にやってきました。ホラーマスクなどを多数リリースしている「トリック・オア・トリート スタジオ」から、全高約30cmにも及ぶタールマンフィギュア(脳みそ付き)が、2023年2月に発売されるとアナウンスされたのです！

発売されたアイテムをチェックしてみると、タールマンの体にまとわりつくピラピラはより劇中に近しい形に。そして注目はヘッドパーツ。 「BRAINS」と「MOREBRAINS」というセリフを放った際の表情からインスピレーションを受けたと言われる2種類が付属していて、劇中のシーンにより異なるタールマンの表情を再現出来てしまう仕様なのです。このこだわりようは、メーカーが溺愛レベルで『バタリアン』を愛しているからにほかならないでしょう！

今後、同スケールのタールマンのお目覚めギミックを搭載した、大惨劇の元凶"トライオキシン245"ドラム缶や、初の公式立体化となる"縦割りの犬"が付属したアクセサリーセットもリリース予定なので、愛に満ちた仕上がりに期待大です。

世はまさに、大バタリアン時代！

そして、この戦線に名乗りを挙げたもう一つのメーカーが「スーパー7」。往年の「スター・ウォーズ」フィギュアのようなあえてのレトロスタイルで人気の、同社の看板アイテムの一つ「リ・アクション」シリーズでの登場がアナウンスされ、2023年9月に発売となりました。

「どのキャラクターがラインナップされるのか？」と予想されていた斜め上をいき、第1弾アイテムでは国内盤DVDのジャケットで長年お馴染みだったゾンビ・トラッシュとゾンビ・スーサイドがまさかの立体化！おまけにスーサイドニキには、臓物ポロリのギミックまで！！続く第2弾アイテムには、満を持してのタールマン、そして墓地でのシーンで多くの観客を釘付けにしてくれた生身のトラッシュ嬢がラインナップされており、こちらにも注目です。

ちなみに「スーパー7」からは、ドラム缶からヌッとせりだすタールマンと、"トライオキシン245"が描き出す「スーパー7」の文字がインパクト大なTシャツ、 原題である『The Return of the Living Dead』の血しぶきロゴがデザインされたスウェットなんかもリリースされています。

ほかにも、ホラーアイテムを始め多くの映画ファンを唸らせるフィギュアをリリースしている「ネカ」による、1980年代的なカートゥーンスタイルを用いて恐怖と可愛さをミックスした「トゥーニーテラーズ」シリーズには、可愛さをギュッと凝縮したチャーミングなタールマンが今年3月にラインナップされました。

まさにフィギュア業界は、群雄割拠なバタリアン戦国時代！なんて良い時代になったんでしょう…。今後、ハーゲンタフやオバンバなどのいままで立体化されていなかったキャラクターたちが、フィギュアとなって私たちの前に現れてくれることに期待しちゃいますね！

文/サムゲタン市川(豆魚雷)