世界中で話題になった「ムービング」や「涙の女王」がノミネート!第60回百想芸術大賞の有力候補をチェック【ドラマ編】
5月7日(火)、百想芸術大賞が今年も開催される。かねてより“韓国のゴールデングローブ賞”と呼ばれるドラマやバラエティ、映画、演劇の最高峰が出揃う韓国エンタメの祭典は、今や本家に勝るとも劣らぬほど存在感を増している。
百想芸術大賞は、2023年4月から3月までの1年間、韓国で上映された映画、TV番組、演劇における制作陣・出演陣が対象となる。今年も百花繚乱の俳優陣と作品が最高峰を競うなか、今回はTV部門の中でもドラマにスポットを当て、注目の候補者と作品を紹介しよう。
「ムービング」が7部門にノミネート!傑作揃いで混戦模様に
近年の韓国ドラマブームにより、一層熱視線が注がれるようになったドラマ部門。なかでも、ディズニープラスの韓国での加入者数が飛躍的に増加するきっかけとなった「ムービング」は注目を浴びている。超能力を隠して暮らしている子供たちと、つらい過去を胸に秘めて生きてきた親たちが、時代と世代を超えて、迫り来る巨大な危機に共に立ち向かう同作は作品賞のほか、演出を担当したパク・インジェ監督と原作・脚本を手掛けたカン・プル作家が揃って演出賞と脚本賞にノミネート。ディレクションとストーリーの両輪が高い完成度に繋がったことがうかがえる。
同作からはリュ・スンリョンが主演男優賞、劇中でラブラインを演じたイ・ジョンハとコ・ユンジョンが揃って新人男優および女優賞、卓越したVFXを手掛けたイ・サンギュが芸術賞に、それぞれノミネートしている。
突然の事故により、子供の頃の精神状態に戻ってしまった検察官とその母親の絆を描く「良くも、悪くも、だって母親」(Netflixで配信中)では、ペ・セヨン作家が脚本賞、息子を女手一つで育てた激烈な母ヨンスン役でラ・ミランが主演女優賞、ヨンスンを取り巻く街の住人で、個性の強いチョンさん役のカン・マルグムが助演女優賞にノミネートされた。
平凡なタクシー運転手が招かれざる客を乗せたことから始まるサスペンス「運の悪い日」(Lemino、ひかりTVで配信中)からもノミニーが続いた。サイコパスのヒョクスを演じたユ・ヨンソク、彼に復讐を果たそうとするスンギュ役のイ・ジョンウンが揃って候補に挙がった。
シスターフッドが描かれるミステリー「庭のある家」(Huluで配信中)からチョン・ジヒョン監督が演出賞、夫のDVに苦しみつつ虎視眈々と復讐のチャンスを狙う妻サンウンに扮したイム・ジヨンが主演女優賞候補に挙がっている。
日本では未配信だが気になる作品も多い。1636年に起きた丙子(へいし)の乱を背景にしたロマンス史劇「恋人(原題)」からは、恋人同士を演じたアン・ウンジンとナム・グンミンが“カップル“で主演女優賞と男優賞にノミネート。
ほかにも、平凡な青年がふとしたきっかけにより犯罪者をターゲットに殺人を繰り返していく「殺人者のパラドックス」(Netflixで配信中)のイ・チャンヒ監督が演出賞、同じく犯罪者を手にかける元刑事チョンに扮したイ・ヒジュンが助演男優賞、チェ・ウシク演じる主人公を手助けするナードなハッカー、ノ・ビンを演じたキム・ヨハンが新人男優賞に挙がっている。
1989年の忠清南道を舞台にした「少年時代(原題)」(日本未配信)は、主役の高校生ビョンテを演じたイム・シワンが主演男優賞候補に挙げられている。
ストーリーテラーの名手が栄誉を競う!気になる脚本賞の行方は?
多くが2時間ほどでエンディングを迎える映画とは異なり、長いエピソード数をつむぎながらいかに視聴者を飽きさせず引きつけ続けるかがドラマ制作のポイントだ。名脚本家がドラマシリーズから生まれるのもそのためだろう。
脚本賞も熾烈な戦いだ。「今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー」(Netflixで配信中)のイ・ナムギュ、オ・ボヒョン、キム・ダヒの三作家も脚本賞に名が挙がっている。さらに「悪鬼」を手掛けたベテラン脚本家キム・ウニ作家も食い込む。
日本未配信だが、アン・ジェホンとイ・ソムという演技派を擁するコメディー「LTNS(原題)」も脚本担当のチョン・ゴウンとイム・デヒョン両作家も脚本賞を競い合う。
「高麗契丹戦争(原題)」も未だ配信予定がないが、呪術にまつわる禍々しい空間デザインを見事に表現した「悪鬼」と同じく芸術賞にノミネートされているほど、衣装デザインにこだわりがある。この2本、今回のノミネートを機に作品が日本でも配信サービスが開始されることを期待したい。