アミのようにバックパックで台湾を巡ってみた『青春18×2 君へと続く道』聖地巡礼【台湾編】
映画ファンは必ず行ってほしい!レトロな映画館「全美戯院」(台南市・中西区)
ジミーがアミを初めてデートに誘ったのは、岩井俊二監督の『Love Letter』(95)が上映されている映画館。「レトロでかわいい!」と台湾の映画館にアミもはしゃいでいた。
ロケ地となった全美戯院は、1950年に開業した台南の歴史ある名画座で、昔から地元のカップルたちに人気のあるデートスポットだったそう。『グリーン・デスティニー』(00)や『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(12)などを手掛けた台湾出身の名監督のアン・リーが、少年時代に頻繁に通った場所として映画ファンには知られている。一般的なシネコンで飾られている劇場ポスターと違い、昔ながらの手描き看板は味わい深く、遠くからでも目を惹く。戯院のスタッフに尋ねてみたところ、この看板は70代の男性画師が、長年描き続けているものという。早朝に訪ねると、映画館の向かいの歩道で画師が作画する姿を目にすることができる。
『青春18×2』が台湾で公開された3月、全美戯院は久しぶりにリバイバル上映ではなく、ほかの映画館と足並みをそろえて本作を上映していた。戯院のショーケースには、ジミーとアミが使った『Love Letter』のチケットをはじめ、2人のアルバイトの制服、「カラオケ神戸」の仲間たちが日本に戻るアミのために作った寄せ書きなど、様々な小道具が飾られていた。
独特な雰囲気を醸し出している全美戯院は、『青春18×2』好きな人にも、映画ファンにもぜひ行ってほしいスポットだ。
台南駅からバスで約10分、または徒歩約20分。
ジミーとアミが約束を交わした「十分駅」(新北市・平渓区)
全美戯院内に飾られていたポスターを見て、アミが「行ってみたい」とジミーに言ったのが、新北市に位置する平渓線の十分駅。ランタン(天燈)の町として知られる十分は、物語のハイライトでもあるジミーとアミが約束を交わした重要なシーンの舞台だ。
ローカル線の平渓線では、日中約1時間ごとに上下線1本の列車が十分駅で交差する。列車が走っていない時間帯には、十分駅からちょっと離れた線路沿いは観光客の入場が許されており、写真撮影やランタンを飛ばすポイントになっている。ランタンは願いの種類ごとに色分けされており、赤は健康・安全祈願、黄は金運、紫は勉強運・合格祈願とされている。世界各地からやってきた観光客が次々とランタンを空に飛ばし、カラフルなランタンがあふれる幻想的な光景を目にすることができる。
ちなみに、十分は台湾のラッキースポットの一つで、「幸福になれる場所」と言われており、多くの人々を惹き付けている。
台北駅から電車で約1時間20分。
MOVIE WALKER PRESS編集部員のロケ地巡りはここでいったん途中下車となったが、紹介したい本作のロケ地はまだまだたくさん。