GANG PARADE・テラシマユウカが語り尽くす映画愛「共感を押し付けない、“変な映画”ほど好きです」

インタビュー

GANG PARADE・テラシマユウカが語り尽くす映画愛「共感を押し付けない、“変な映画”ほど好きです」

「映画館は集中して観られるので、手軽に非日常に行ける」

テラシマがWEBカルチャーマガジン「StoryWriter」で映画コラムの連載をスタートさせたのは2018年。初めは「それでも映画は、素晴らしい。」と題して様々な人々から古今東西のオススメ映画を聞き、それをテラシマ自身が実際に観て紹介していくという内容で、全31回にわたって続けられた。

5年間、ほぼ毎週新作映画の紹介コラムを書き続けているテラシマユウカ
5年間、ほぼ毎週新作映画の紹介コラムを書き続けているテラシマユウカ撮影:河内彩

その後2019年に「今日はさぼって映画をみにいく」とリニューアル。今度は上映中の新作映画を毎週紹介していくという内容に一新され、邦画や洋画、アニメなどジャンルを問わずテラシマ自身の言葉でその作品の魅力が語られていく。実に5年近くものあいだ欠かさず続けられているこの連載は、北欧ホラー『胸騒ぎ』(公開中)を取り上げた最新回で256回目を迎えた。

「ファンの方で普段映画をあまり観ない人も読んでくれるので、皆さんにとって映画を観るきっかけになるコラムになったらいいなと思いながら書いています。逆にコラムを読んで私のことを知って、そこからGANG PARADEのライブに来てくれたという人もいて、そういう時にとてもやりがいを感じます。紹介する作品はいつも自分で決めていて、なるべくメジャーな作品を取り入れることでマニアックな方に偏らないようには気を付けているんですけど…結構偏ってます(笑)」。

映画好きの“原点”となった「ハリー・ポッター」シリーズ
映画好きの“原点”となった「ハリー・ポッター」シリーズ[c]Everett Collection/AFLO

そんな彼女が映画にハマったきっかけとなった作品はなんだったのか。返ってきた答えは意外にも、王道中の王道「ハリー・ポッター」シリーズだという。「子どものころ家にDVDがあってセリフを覚えるぐらい何度も繰り返し観ていました。新作が公開する時には家族揃って映画館に観に行くのが定番になっていて、そこから映画館に通ったり、TSUTAYAでたくさんDVDを借りて観るようになりました。でも本格的に映画にハマったのは高校生ぐらいからだったと思います」。

“原点”だと語る「ハリー・ポッター」シリーズのほかに、彼女にはもう一つ思い出深い作品があるという。「母親とケンカした時に、祖母が『気分転換に』と映画館に連れて行ってくれたことがあるんです。その時たまたま近くの映画館で公開されていたのがグザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』。その時は『なんでこんな映画を観せるんだ!』と怒りが湧きましたが(笑)、上京して親の大切さに気付いた時にふと思い出して観直してみたら、すごく良い作品だと思えるようになっていました。自分が大人になったということもあると思いますが、見方が変わることで同じ映画でもこんなに感想が変わるんだと、映画のすばらしさをしみじみ感じることができました」。

若き天才グザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』はターニングポイントとなる作品に
若き天才グザヴィエ・ドラン監督の『Mommy/マミー』はターニングポイントとなる作品に[c]Everett Collection/AFLO

それをきっかけに同じ映画を何度も観ることが増えたという彼女だが、家で配信やDVDなどで映画を観るのはあまり得意ではないという。「集中力もあまり続かないし、特に初見の作品は『テレビじゃもったいない』『映画館で観たいな』と思ってしまいます」。

生粋の“映画館派”を貫くだけでなく、映画鑑賞に際してさまざまなこだわりを持っているようだ。「あまり予告編を見ないようにしていて、ポスターのビジュアルでピンときたものを観ることが多いです。ストーリーも事前に読まずに映画館へ行くので、理解に時間がかかるのですが、それが楽しくて。観ている時には作品の設定や世界観も大事ですが、物語の入り方にいつも注目しています。クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』を初めて観た時は、始まり方がとにかくカッコ良すぎて感動しました」。


映画館体験の醍醐味をとことん味わったというクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』
映画館体験の醍醐味をとことん味わったというクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』[c]Everett Collection/AFLO

映画館で映画を観ることの魅力については、「手軽に非日常に行けることじゃないでしょうか」と語る。「環境としても、映画館以外で2時間も暗闇に座って閉じ込められることなんてないですし(笑)。家でも真っ暗にして、携帯電話もオフにして観ることはできますけど、画面以外の情報が一切ない場所は映画館しかない。以前クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』の再上映を観に行った時に、気持ちが宇宙まで飛ばされるような感覚を味わいました。『こんなに映像で圧倒されることがあるのか』と驚いて、より映画館で観ることの魅力を改めて感じました」。

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