『告白 コンフェッション』で初共演!生田斗真&ヤン・イクチュンが感じた、ワンシチュエーションでの“芝居の力”
「新しいチャレンジをイクチュンさんと一緒にできたのはすばらしい経験」(生田)
――映画の後半は血で血を洗う殺戮合戦になりますが、あの撮影はどんな感じだったのでしょう?
生田「イクチュンさんは特殊メイクをしなきゃいけなかったので、僕より数時間前にいつも現場に入っていて大変そうでしたね。でもどんなに朝早くても、2人で叫びながら壮絶なバトルを繰り広げなければいけなかったので、僕はそれがやっぱりいちばん大変でした」
ヤン「私は、身体でぶつかっていけばいいアクションはさほど大変ではありませんでした。兵役中、劇中に出てくるような斧を扱うこともありましたから。それよりも、アクションの合間合間に見えてくる感情や葛藤などを表現することのほうが難しかったです」
――山下敦弘監督からはどんな指示が多かったですか?
生田「スリラーとかホラーって視点を変えると、ちょっと笑えるじゃないですか? 山下監督は『そこを上手くねらいたい』と仰っていて、ジヨンが『ウギャー』って言いながら階段を追いかけてくるところや首がボキってなるところは実際、怖いけれど、ちょっとおもしろい。その絶妙なところを表現されていたような気がします」
ヤン「監督は可愛らしい方でしたね(笑)。一方的に指示をするタイプでもないし、年齢も近くて、一緒に話しながら撮影ができたので、居心地もよかったです」
――今回のようなほぼ2人芝居で、ワンシチュエーションの映画というのも珍しいと思うのですが、実際にやってみていかがでした?
生田「芝居の力だけで映画を引っ張っていかなきゃいけなかったので、自分にとっても新しい挑戦でした。そのチャレンジをイクチュンさんと一緒にできたのもすばらしい経験だったと思います」
ヤン「登場人物がたくさんいて、いろんな感情が生まれる映画と違って、本作はひとつの状況の中で極限の感情を表現しなければいけなかったので、そこがとても大変でした。逆の言い方をするなら、2人の葛藤に集中して、そこをどんどん掘り下げることができたのはよかったですね。決して簡単な作業ではなかったですが、新しい経験ができたと思っています」
生田「時間的には74分のとても観やすい映画なのに、どっと疲れるんです。内容を知っている俺でも息をするのを忘れるぐらいのめり込んでしまったから、これから観るみなさんにも映画館ですごくいい経験がしてもらえると思います」
――撮影中のお互いの印象も教えて下さい。
生田「イクチュンさんは芝居をひとつずつ積み上げていって、本番にいちばんピークを持ってくるんですよね。そこをちゃんと計算しているというか、自分の感情をコントロールして、コントロールの制御が効いてないような芝居を構築するととろがスゴいと思いました」
ヤン「生田さんは優れた集中力を持っていて、相手の一瞬、一瞬の感情をちゃんと受けとめることにも長けた方です。私も安心して、自分の感情を思いきり彼にぶつけることができました」
――生田さんがマキシマム ザ ホルモンと一緒に歌った、本作の主題歌「殺意vs殺意(共犯:生田斗真)」も話題になっていますね。
生田「経験のないことだったのでレコーディングのときはドキドキでした(笑)。でも、僕が尊敬する大好きなバンドのメンバーと一緒に歌えて、みんなも興奮してくれていたからよかった。山下監督の『主題歌ですべてをぶっ壊してほしい』というオーダーとも合致する仕上がりになったので、それもうれしかったですね」
ヤン「最初に聴かせてもらった時は、“生田さんはこんなにきれいな声で歌うのか?”と私も本当に驚きました」
「なんでも話せるから親友、というわけではない。難しいですよね」(ヤン)
――ところで、お2人にはなんでも腹を割って話せる親友はいますか?
生田「親友はいますけど、難しいですよね。なんでも話せるから親友ってことでもないし、毎日一緒にいることが親友でもないだろし。定義がいまひとつわからないところがあるかな」
ヤン「私は親友と呼べる人がいないので、できたらいいなと思います」
――そうなんですか?
ヤン「以前は本当に親しくしていた友達もいましたが、その人とも少しずつ距離ができてしまいました。ほかにも、しょっちゅうではないけれど、1、2年に1回ぐらい会う友達はいて、自分の思っていることを言い合うこともありますが、時として、ちゃんと話してくれなくて水臭いなと思うこともあります。初めにお話した親しい友人とは、久しぶりに会っても昨日も一昨日も会ったかのような感覚で、気軽になんでも言い合うことができますが、『なんでも話せるから親友なのか?』というと、そこには“?”がつくかもしれない。その感覚も10代や20代の時とは変化してくると思うので、難しい。そこはお金に対する価値観にも似ているような気がします」
――劇中の浅井とジヨンはちょっとしたことがきっかけで大変な目に遭いますが、お2人がこれまでの人生の中で味わった最大のピンチと、それをどうやって回避したのかを言える範囲で教えてください。
ヤン「トイレがすぐに見つからなくて、『トイレ、トイレ!』って慌てて探すことはひと月に1回ぐらいはありますね(笑)」
生田「僕はよく物を失くします。この前もありました。ゴルフをやって帰る時に、車の鍵が見つからなくて。あったと思ったら今度は財布がない。でも、それも出てきてなんとか帰ってきたら、家の鍵までないから本当に嫌になりました。結局鍵もあったから事なきを得たけれど、あの時は『俺はなんのために生きているんだろう?』っていう気持ちになりましたよ(笑)」
ヤン「僕は韓国のソウルで小さなお店をやっているのですが、日本に来る前に製氷機が壊れてしまったんです。お客さんに冷たいものが出せなくなるからいろいろ手を尽くしたんだけど、直らない。でも、飛行機の時間が迫っていたから、そのまま店を出るしかなくて。日本に着いてから店に電話したら、スタッフが『直りました』と言ったので、ホッとしましたね(笑)」
取材・文/イソガイマサト