“ホラー愛”あふれるセントチヒロ・チッチが「想像を超えてきた!」と語る『ザ・ウォッチャーズ』とは?
「もし死ぬのを待つだけだとしたら、生き残る術を探していきます」
イシャナ監督はまだ10代の頃に、父が製作総指揮を務めたApple TV+シリーズ「サーヴァント ターナー家の子守」で脚本と監督を務めて映像業界デビュー。『オールド』(21)と『ノック 終末の訪問者』(23)では、第二班監督を務めて経験を積んだ。まだ24歳である彼女の才能に、チッチは特に大きな驚きを味わったと明かす。
「本当にその年齢で撮ったの!?と思ってしまうほど感性が大人びていて、ストーリーも想像以上に壮大。やっぱりお父さまのことを尊敬していて、現場で多くのことを学んできたのかなと感じました。同時に、序盤での主人公の行動に若い女性としてのリアルさが感じられたり、音楽の使い方にカルチャーへの造詣の深さがあらわれていたり、20代だからというよりもイシャナ監督自身のセンスのよさが発揮されていたように思いました」。
森のなかに佇む“ガラス張りの部屋”に閉じ込められた4人の男女が、毎夜現れる謎の“監視者”の恐怖に襲われるさまを描く本作は、父譲りのサプライズに満ちた展開の妙味も相まって、既存のホラージャンルの常識を覆すような一本だ。物語はダコタ・ファニング演じるミナが届け物をするために車を走らせ、森のなかへ彷徨い込んでしまうところから始まる。日が落ちかけ、周囲に不穏な空気がただよいはじめた時、声に導かれてとある部屋の中に逃げ込むミナ。そこで彼女は3人の見知らぬ男女と出会う。そして「“監視者”に背を向けてはいけない」「決してドアを開けてはいけない」「常に光の中にいろ」という3つのルールを一つでも破ったら死に至るという、不条理な恐怖を味わうことになる。
「部屋の外に閉め出されるシーンがあるのですが、徐々になにかが迫ってくる感じが特に怖くて、ああいった鬼気迫る瞬間は映画館で観ていると自分も登場人物の一人になったような気がして心臓がバクバクしてくるんですよね」と、恐怖を感じながらもすっかり本作の世界へと没入していたチッチ。
「中盤以降の●●●●に入ってからのシーンもかなり怖くて、なにもはっきりしていないまま進んでいく不安感。ずっと『なにかが出てきたらどうしよう…』と思いながらスクリーンに釘付けになっていました。途中までほとんど人が●●●●から逆に不安になってしまったり…。ここで終わっちゃうのかな?と思ったらまた二転三転。でも『こうなってほしい!』という方向に全部行ってくれるので、ホラー好きとしてうれしいことずくめでした」と満面の笑み。
もしも本作の世界に入り込んで、ミナと同じ状況になったら?と訊ねてみると、チッチは「ミナと同じような行動を取るかもしれません」と即答。「同じことを繰り返したままで平凡に死にたくはない。もしこの3つのルールを守りながらただ死ぬのを待つだけなら、ゲームを攻略するような気持ちで生き残る術を探していきます。まずはルールをどうやって破るかと、破ったらどうなるのか試してみるところからですね(笑)」。