地味すぎる!?けど見逃せない…!「涙が込み上げてきた」「今年ベスト映画!」オスカー候補作に映画ファンが太鼓判を押す理由

コラム

地味すぎる!?けど見逃せない…!「涙が込み上げてきた」「今年ベスト映画!」オスカー候補作に映画ファンが太鼓判を押す理由

1970年代を再現した、映像、音楽、美術…細部へのこだわり

温かみのある画作りなど、随所にアレクサンダー・ペイン監督のこだわりが感じられる
温かみのある画作りなど、随所にアレクサンダー・ペイン監督のこだわりが感じられるSeacia Pavao / [c] 2024 FOCUS FEATURES LLC.

サイドウェイ』『ファミリー・ツリー』(11)など名作を手がけたアレクサンダー・ペイン監督。本作でも登場人物たちの哀愁や心の機微をリアルに描写しながら、クスッと笑えるユーモア要素、考えさせられる社会への風刺が散りばめられている。ペイン監督作の味をしっかり味わえるうえ、1970年代という少し昔を舞台にした物語でありながら、しっかりと現実味を感じられる点も本作が心を揺さぶる理由の一つ。その時代感を演出しているのが、映像や音楽や美術といった細かな部分へのこだわりだ。

「映画の年代にあった音楽、撮影風景など監督のセンスがより映画に現れた作品だと感じた」(10代・男性)
「古っぽい映像が時代にマッチしていてよいです!アイスに火をつけたあとや、爆竹をつけている時など、あえて引きの画で映しているのが効果的で、愛おしさを感じました」(30代・女性)
「ストーリーを手堅くそつなく見せると同時に、絵画のような色彩や映像、巧みな音楽の使い方がすばらしい」(60代・男性)
「音楽もよかった。ピアノの1音が背景の音に溶け込んで響くところもゾクゾクした。言葉や仕草、周りの建物や小道具などのこだわりを聞きたくなりました」(30代・女性)


70年代当時のものにアレンジされた冒頭のユニバーサルロゴを筆頭に、フィルムプリントのような映像の質感。随所に盛り込まれた「新婚ゲーム」や『女王陛下の007』(69)、『小さな巨人』(70)といった当時のカルチャーに、作品を盛り上げる70年ごろの楽曲まで、レトロな雰囲気が漂っており、当時を知らない人でもどこか懐かしい気分を覚えるはずだ。

ビッグバジェットムービーが注目されがちな昨今の潮流とは逆を行くような、派手さこそはないがウェルメイドで心温まる作品となっている『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』。

クリスマスツリーを用意するなど、周囲に優しくしようと心を開いていくハナムの健気さがまた泣ける
クリスマスツリーを用意するなど、周囲に優しくしようと心を開いていくハナムの健気さがまた泣けるSeacia Pavao / [c] 2024 FOCUS FEATURES LLC.

「笑って泣けて、少しせつないけれど、前を向く力をもらえる映画だと思った」(30代・女性)
「ラストにかけてジワジワと涙が込み上げてきました。泣きながら笑える稀有な作品です」(20代・男性)
「誰でも心に闇があるもの。でも心が通じ合えば楽になれるし、信頼できる。魂の寄り添いを感じられる映画」(30代・女性)
「生きていると大変なことやつらいことにたくさん出くわすけど、この映画を通して少しでも優しい気持ちになってくれたらうれしい。前を向いて生きていこうと思える本当にすてきな作品」(20代・男性)
「人生の孤独に優しく寄り添ってくれる1本」(50代・男性)
「映像もストーリーも笑えてうるっときて感情揺さぶられる、でも最後にはあたたかい気持ちになる話でした」(20代・女性)


などのコメントにもあるどおり、孤独を感じる人やつらい時期など、いいことばかりじゃない人生の場面に寄り添っててくれるような、いまを生きる人たちのための1作となっている。ぜひ劇場に足を運んで、ほかの観客と共に笑い泣き、映画に込められた優しさを感じ取ってほしい。


構成/文・サンクレイオ翼

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