能力者の生まれる町、人喰いの村…ディズニープラスで見られる変わった村や街、集めました
“人喰い”の因習があり、怪物が巣食う供花村の狂気に迫る「ガンニバル」
「七夕の国」と同じく日本の地方社会に渦巻く因習を描いているのが「ガンニバル」。しかもこちらが題材にしているのは“人喰い”というかなり血生臭いものになっている。山間にある村「供花村(くげむら)」の駐在として、妻と娘を連れて赴任してきた警察官の阿川大悟(柳楽優弥)。村人からも歓迎されるなか、地元の名士である後藤家の当主、銀(倍賞美津子)の死体が森で発見される。遺体に喰い荒らされた痕があることから周囲はクマによる仕業と判断するが、大悟は歯形が人間のものであるように感じ独自の捜査を開始する。加えて、前任の駐在員、狩野(矢柴俊博)の娘すみれ(北香那)と接触し、彼女から「後藤家は人を喰っている」と聞かされたことから、大悟の疑念はより確実なものとなっていく…。
「七夕の国」の温厚そうな丸川町の人々に対し、供花村の、特に後藤家の関係者は荒くれ者ぞろい。屋敷に侵入した大悟を数人で取り組むと銃を突きつけて威嚇。ここは全員が大悟に返り討ちにされてしまうが、その内の一人で過激派の睦夫(酒向芳)は執念深く、車で走行中の大悟をゴミ収集車で襲撃。トンネル内で銃撃戦を繰り広げるなどその行動は常軌を逸していた。
さらに、この村には“あの人”と呼ばれ、恐れられているおよそ人とは思えない長身の老人が潜んでおり、村人たちはこの怪物を匿い、定期的に子どもを生贄として捧げていることも発覚。その異常さは、子どものころに生贄にされながらも逃げだすことに成功した寺山京介(高杉真宙)という、顔の左半分が喰われた生き証人によって証明される。シーズン2制作も発表され、“あの人”の正体、いまだ全容が明かされていない供花村の闇が明かされるのが待ち遠しい、沼落ち必至の作品となっている。
たくましくもユニークな人々が暮らす仮設住宅を描く「季節のない街」
外の社会とは距離を置くコミュニティには、様々な背景を持ち、少し常識外れな住人が集まってくるようだ。“ナニ”という大災害で被災した人々が身を寄せる仮設住宅が舞台の「季節のない街」は、そんなワケありな人々の悲喜交々が描かれる。“ナニ”から12年が経つが、現在も仮設住宅には18世帯が暮らしていた。主人公の半助(池松壮亮)は、この仮設住宅での住民たちの暮らしを報告するだけで最大1万円の報酬がもらえると聞き、軽い気持ちで入居する。自身もナニで家族や家を失い、生きる目標もなかった半助だが、ギリギリの生活のなかでたくましく生きる住人たちを観察するうちに、彼らのことが好きになっていく。
本作の特徴は仮設住宅に暮らすユニークな住人たち。母親と、父親が異なる妹と弟を支えるため懸命に働くタツヤ(仲野太賀)に、寡黙で表情変化に乏しいカツ子(三浦透子)に恋するコンビニ店員のオカベ(渡辺大知)、電車が好きで仮設住宅の敷地内を線路に見立てて、「どですかでん、どですかでん」と言いながら走り回る六ちゃん(濱田岳)。日雇い労働者の増田(増子直純)と河口(荒川良々)はいつもべろんべろんに酔っぱらっているだけでなく、お互いの自宅や妻が入れ替わっても気にする素振りも見せない。
こんな狭いコミュニティだとそれぞれの生活は周囲に筒抜けで、誰々の部屋に女性が入っていった、どこどこの奥さんが出ていったといったゴシップはすぐに広まってしまう。一方で、女児誘拐犯に間違われた六ちゃんが警察に連行されそうになると住民総出で止めようとしたり、ホームレスの親子が家代わりにしていたあばら屋が撤去された際には、その理不尽さに憤ったりしていた。人間関係の面倒くささがあるなかで、助け合いながら生きる人情の厚さがあるのも小さなコミュニティならではなのかもしれない。