記憶はどこに保管される?夢のメカニズムって?『インサイド・ヘッド』が描くユニークな頭のなか
頭のなかを舞台に、そこに住む感情たちを通じて成長する少女の物語を描いたピクサーの『インサイド・ヘッド』(15)から9年。その続編となる『インサイド・ヘッド2』が8月1日から公開中だ。『インサイド・ヘッド』といえば、人間の複雑な頭のなかを映像としてわかりやすくビジュアライズしており、ワクワクするような世界観がユニーク。そこで新作の公開を機に、“頭のなかの世界”を振り返っておきたい。
ライリーを守り、思い出を生みだしていく司令部
11歳の少女ライリーは、父の仕事の関係で生まれ育ったミネソタの田舎町からサンフランシスコへと引っ越すことになり、思いがけないトラブルの連続により感情を失いかけてしまう。そんな窮地を救うべく、「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」という5つの感情が奮闘する。
この5つの感情たちが暮らしているのが、たくさんのボタンやレバーがついたコックピットのようなパネルを中心とした“司令部”。嫌いな食べ物を出された時にはイカリが舵を握り、部屋中を駆け回っている際に危険を察知すればビビリがボタンを押したり…とライリーが直面している状況に応じて各感情が彼女をコントロール。さらに、ヨロコビがアイデアの電球をパネルに差し込むとライリーにハッピーな考えが浮かぶなど、感情たちが機転を利かせることで様々な危機を乗り越えていく。
またライリーの経験した思い出は、ハッピーなものならヨロコビの黄色、悲しいものはカナシミの青色…と各感情の色付きボールという形で具現化。このボールはプロジェクターに投影することでライリーに記憶を思いださせることもできる。
そんなメモリーボールのなかでも、アイスホッケーでの初めての得点など”特別な思い出”だけは司令部の中央に大切に保管され、“ホッケーの島”、“おふざけの島”、“友情の島”など思い出に基づいた”性格の島”を形成。ライリーという人間のコアとなっている。
日々生みだされる大量の記憶が行き着く場所とは…
この司令部でライリーを守ってきた感情たちだったが、ひょんなことからヨロコビとカナシミが外の世界へと放り出されてしまい、再び司令部へと戻るべく、頭のなかの世界で冒険を繰り広げていく。
ライリーの頭のなかを駆け巡る“考えの列車”、ポテトフライの森や雲の町といったマジカルな世界が広がる“イマジネーションランド”、寝ている間に見る夢を生みだす“製作スタジオ”、ピエロや地下への階段などライリーが怖がるものを閉じ込めた“恐怖の格納庫”など、ややこしい頭のなかが映像として見事に表現されている。
そんな頭のなかの大半を占めているのが、メモリーボールがずらりと陳列された巨大な棚が立体迷路のように並ぶ“記憶の長期貯蔵庫”。この場所では整理員が色褪せてしまった遠い日の思い出を選別し、捨て場へと送っており、地下深くには忘れ去られた大量の過去が…。よりによってヨロコビはこの場に落ちてしまうと、いまにも忘れ去られそうなイマジナリーフレンドのビンボンのロケットで共に脱出を目指すことになるのだった。