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「次これ観たい!」が絶対見つかる。エンタメのスペシャリストたちが「ディズニープラス」スターの高品質作品をジャンル別におすすめ

コラム

「次これ観たい!」が絶対見つかる。エンタメのスペシャリストたちが「ディズニープラス」スターの高品質作品をジャンル別におすすめ

賞レース常連スタジオが贈る、隠れた名作。サーチライト・ピクチャーズの映画4選

新しい才能を発掘する目利きのスタジオとして知られるサーチライト・ピクチャーズ。劇場用映画だけでなく、ドラマや配信用映画にも活躍の場を広げている。そのなかでも、ディズニープラスでしか観られない隠れた秀作4本をピックアップ。ここでも時代を牽引するサーチライトイズムが活かされている。

1本目は『ファイアー・アイランド』(22)。ゲイに人気の避暑地と言えば…のNY近郊ファイアー・アイランドを舞台に、アジア系LGBTQ+コミュニティの恋愛と友情が描かれる。主演にはジョエル・キム・ブースター(Apple TV+「マネー ~彼女が手に入れたもの~」)、ボーウェン・ヤン(「サタデー・ナイト・ライブ」ライター&キャスト)、そしてマーガレット・チョー(『フェイフェイと月の冒険』)といった人気コメディアンをそろえ、ジェーン・オースティンの不朽の名著「高慢と偏見」をベースに、おかしくてせつないラブコメディを作り上げた。

アジア系LGBTQ+コミュニティの恋愛と友情を描く『ファイアー・アイランド』
アジア系LGBTQ+コミュニティの恋愛と友情を描く『ファイアー・アイランド』[c] 2024 20th Century Studios.All rights reserved.


監督は、初監督作『Spa Night』(16)がサンダンス映画祭で注目されたアンドリュー・アン。次回作ではボーウェン・ヤン&リリー・グラッドストーン主演でアン・リーの『ウェディング・バンケット』(93)をリメイクするという要注目の映画作家だ。普段からつるんで遊んでいる仲間たちが作ったラブコメは、際どいジョークとテンポのよい掛け合いが最高。『クレイジー・リッチ!』(18)、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)と並ぶアジア系コメディの最高峰と言える。

ベースにあるのはジェーン・オースティンの「高慢と偏見」(『ファイアー・アイランド』)
ベースにあるのはジェーン・オースティンの「高慢と偏見」(『ファイアー・アイランド』)[c] 2024 20th Century Studios.All rights reserved.

2本目は『フレーミングホット!チートス物語』(23)。人気スナックの“チートス”の激辛味を考案し、工場の従業員から製菓会社の重役にまでなったメキシコ系男性の実話を映画化。立身物語に見え隠れする人種間の職業問題など複雑な背景を重くならずに描き、家族の親密さを全面に出した演出手腕が見事。監督は女優のエヴァ・ロンゴリアで、今作が映画初監督。ABC系列で放送されていたドラマ「デスパレートな妻たち」に主演していたロンゴリアが長らく温めていた企画で、当時ABC社員だったボブ・アイガー(現ディズニーCEO)が背中を押してくれたのだという。系列テレビ局の平社員からディズニーのトップにまで上り詰めた自分と重ね合わせていたのかもしれない。プレミアにはアイガーも参加し、新人監督ロンゴリアの熱意と才能を讃えていた。

大人気のスナック、チートスにまつわる秘話とは?(『フレーミングホット!チートス物語』)
大人気のスナック、チートスにまつわる秘話とは?(『フレーミングホット!チートス物語』)[c] 2024 20th Century Studios. All rights reserved.

3本目は『ノット・オッケー!』(22)。NYの出版社で働くダニは、「どうにかしてインフルエンサーになりたい」と研修旅行でパリに招待されたと偽りSNSに投稿。その直後にテロが起き、生存者として注目の的になってしまう。トラウマを克服するセラピーで銃反対運動を率いるローワンと出会い、さらに嘘を重ねることに…。虚偽の投稿でインフルエンサーとなり、どんどん歯止めがきかなくなる主人公。映画の舞台も出来事も実際にありそうなくらいリアルなのに、なぜか爽やかな鑑賞後感。これは承認欲求をこじらせた末の悲劇をコメディに転調させるゾーイ・ドゥイッチの魅力によるもので、今後ますます活躍が期待できそう。

研修旅行でパリに招待されたと偽り、SNSに投稿するダニ(『ノット・オッケー!』)
研修旅行でパリに招待されたと偽り、SNSに投稿するダニ(『ノット・オッケー!』)[c] 2024 20th Century Studios

最後の1本は『フレッシュ』(22)。2023年サンダンス映画祭のミッドナイト部門で上映された本作は、出会い系アプリに失望したノア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)が、スーパーマーケットで買い物中に出会ったイケメン医師のスティーブ(セバスチャン・スタン)とデートに出かけた先の恐怖を描いたホラー作品。

スーパーマーケットでイケメン医師のスティーブに出会ったノアだったが…(『フレッシュ』)
スーパーマーケットでイケメン医師のスティーブに出会ったノアだったが…(『フレッシュ』)[c] 2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

監督は新人のミミ・ケイブ、プロデュースにアダム・マッケイ(「メディア王~華麗なる一族~」)、撮影にパヴェウ・ポゴジェルスキ(『ミッドサマー』、『ヘレディタリー/継承』)と名匠たちがバックアップ。『ナイトメア・アリー』(21)、『28日後...』(02)、『ザ・メニュー』(22)など、名作ぞろいのサーチライトのホラー/スリラー作品。『フレッシュ』もサーチライトのロゴを背負うのにふさわしい、異色のホラー作品となっている。デイジー・エドガー=ジョーンズとセバスチャン・スタンのケミストリーが抜群によく、かつてのナンパスポットのスーパーマーケットとマッチングアプリの対比など、丁寧に練られた脚本に唸る。(LA在住エンターテイメントジャーナリスト・平井伊都子)

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●渡辺麻紀
映画ライター。ぴあやTVブロス等で執筆中。ずっとハリウッド映画が得意でしたが、最近やっと、韓国ドラマや映画の面白さに目覚めました。

●冨永由紀
ライター。雑誌やWeb媒体で映画紹介やコラム、俳優、監督のインタビューを執筆。新作もチェックしつつ、配信で少し前の名作を掘り起こす温故知新を楽しんでいます。

●平井伊都子
LA在住エンターテイメントジャーナリスト。ライター業から一歩踏み出し、日米のエンタメ業界をつなぐ事業に着手し始めました。