『ミライヘキミト。』で「本当の家族のようになれた!」川島鈴遥、西田尚美、斉藤陽一郎、ウエダアツシ監督が語る舞台裏
「私は“大人になる”ということをはき違えていたんだなという学びがありました」(川島)
――本作は「青春とは人生のある時間をさすのではなく、心の状態をいうのだ」といったサミュエル・ウルマンの詩が効果的に挿入されていますが、皆さんはどう感じましたか?
斉藤「女性はみんな悩んでつまずきつつも、本を読んでもう一度、青春に向き合っていく。そういう成長が描かれていきますが、お父さんに至っては全然変わらない(笑)。でも、逆に言えば、お父さんはかつて、もうすでに読んでいて、いまも青春真っ只なかなのかなとも解釈しました」
川島「由宇ちゃんの第1話は、部活や進路、幼馴染みの男の子などの話で、まさに世間で言う青春そのものだなと思いました。でも、私自身で言えば、実は小さいころから本当に大人になるのが嫌だったし、不安だなと思っていたんです」
――なぜ、不安だったのですか?
川島「大人はひとりぼっちで、自分1人でいろんなこと決断しなきゃいけない。それなら周りから守られている子どものままでいて、こうしたらいいという選択肢を与えられているほうが楽なんじゃないかと思っていたんです。でも、今回『青春の詩』を読んで、自分自身でその考え方は変えていけるんだなと感じました。子ども心を忘れないことや、若くても楽しむ心がなかったら人は老いてしまうということなどが書かれていて、私は“大人になる”ということをはき違えていたんだなという学びがありました。だからすごく好きな詩になりました!」
西田「私もあの詩は『うんうん。そうだよね』と自分に言い聞かせながら読みました。とてもいい詩で、自分自身も納得できた内容です。自分のやりたいことをやれて、周りから『やればいいじゃない』と応援されるなんてすてきなことだし、私自身もなんだか青春しているなと、演じながら思えました」
ウエダ監督「僕が特に好きな部分は、具体的な年齢を提示しているところです。日本では、年配の方に『まだまだお若いですよ』という感じで年齢をオブラートに包んだりしますが、あの詩は『時には、20歳の若者よりも60歳の人に青春がある』と具体的だから、そうなんだなと思えますし、そういう応援の仕方がいいですよね。各話で読んでもらう箇所を少しずつ変えているので、観てくれた方が、どこかで自分にも当てはまる一文に出会えればいいなと思いました」
――では、最後に、お父さん役の斉藤さんに締めていただきましょう!
斉藤「僕ですか!?いやあ(笑)。でも浅田さんもおっしゃられていましたが、この映画はすごく温かいです。その温かさや優しい目線は、たぶんウエダ監督の人柄によるところも大きいと思います。そういうものは自然と画に映ってしまうものですから。また、僕はこれまでにいろんな家族の役を演じてきましたが、ここまでいっきにみんなが家族になれたというのは本当に珍しい現場だったと思います。だから僕にとっては宝物の1本になりました!」
取材・文/山崎伸子