山田尚子監督『きみの色』で主人公を演じた鈴川紗由が語る、役への愛「体が先に動いてしまうところや、マイペースなところが私と似ている」

インタビュー

山田尚子監督『きみの色』で主人公を演じた鈴川紗由が語る、役への愛「体が先に動いてしまうところや、マイペースなところが私と似ている」

『映画けいおん!』(11)や『映画 聲の形』(16)など、繊細な演出と稀有な映像センスによって、思春期の若者たちのみずみずしい感情を描いてきたアニメーション監督、山田尚子による完全オリジナル長編アニメーション映画『きみの色』(公開中)で、1600人に及ぶオーディションから主人公のトツ子役に選ばれた鈴川紗由。アフレコ当時は主人公と同い年だったという彼女が、等身大の輝きを放ちながら、周囲を優しく照らすようなキャラクターに見事に息吹を吹き込んでいる。本作でたくさんの初挑戦を果たした鈴川が、トツ子からもらった力、未来への展望など、18歳の想いを明かした。

「オーディション合格の報せをいただいて、うれし泣きしました」

鈴川の演じた主人公トツ子は、人が“色”で見える女の子
鈴川の演じた主人公トツ子は、人が“色”で見える女の子[c]2024「きみの色」製作委員会

人が“色”で見えるトツ子が、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみ(声:高石あかり)と、音楽好きの少年・ルイ(声:木戸大聖)と出会い、音楽で心を通わせていく姿を映しだす本作。脚本は「けいおん!」シリーズ以降、幾度となく山田監督とタッグを組んできた吉田玲子。音楽を『映画 聲の形』や「チェンソーマン」などの牛尾憲輔が担当している。

うれしい色、楽しい色、穏やかな色など、人が“色”で見えるトツ子は、天真爛漫な女の子。悩みや葛藤を抱いたきみ、ルイに寄り添う力を持ち、観客にとっても観ているだけで笑顔になれるようなキャラクターだ。トツ子役でオーディションを受けた鈴川は、どのような気持ちで参加したのだろうか。

感情のままに表現するトツ子の姿には、思わず頬がゆるんでしまう
感情のままに表現するトツ子の姿には、思わず頬がゆるんでしまう[c]2024「きみの色」製作委員会

鈴川は「私はもともと声優さんやアニメが好きで、『映画 聲の形』も大好きな作品です。『山田監督の最新作のオーディションがある』という話を聞いて、ぜひ演じたいと思いました。同時に『たくさんの方が応募しているのだろうな…』と思っていたので、とにかく挑戦してみよう!という気持ちでした」と回想。1600人が参加した各審査を通過してトツ子役を手にしたが、「事務所の方がサプライズで結果を教えてくれたんです!クラッカーを鳴らして、ケーキも用意してくれたんです」と興奮ぎみに当時を振り返る。「結果を待っている間は、食事も喉を通らないくらいでした。サプライズで合格を教えていただいた時には、頭が真っ白になってしまって。それからまず、母に電話をして報告をしました。母は『おめでとう!』と泣いていて、私も泣いてしまいました。うれし泣きです」と照れ笑いをのぞかせる。


声優の仕事をすることが、小さいころから大きな目標だったことを明かした鈴川
声優の仕事をすることが、小さいころから大きな目標だったことを明かした鈴川撮影/今江寿之

「夢が叶った」と語る声優業へのチャレンジは、鈴川にとって大きな目標だったという。「中学生くらいのころからアニメや声優さんが好きになって。私は『何歳でこういう仕事をしたい』とつづった夢ノートを作っているんですが、『25歳くらいで、声優さんのお仕事をできたら』と書いていたんです。それを18歳で叶えることができて、本当に夢のようです」。

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