山田尚子監督『きみの色』で主人公を演じた鈴川紗由が語る、役への愛「体が先に動いてしまうところや、マイペースなところが私と似ている」
「赤色を胸に、メラメラと心を燃やしながら進んでいきたい」
鈴川は2005年生まれ、和歌山県出身の18歳。14歳の時に、2020年開催のユニバーサル ミュージック初の女優オーディション「“ニューヒロイン”オーディション」で特別賞を受賞し所属。その後、数々のCMや、映画『女囚霊』(23)、若手俳優の発掘・育成と地方創生を目的とした「私の卒業プロジェクト」第5期の映画『こころのふた~雪の降るまちで~』(24)など、俳優としての道をひたむきに歩み始めている。
この世界に憧れたきっかけは、「水野美紀さんのお芝居に衝撃を受けたこと」だと告白。「NHK連続テレビ小説『スカーレット』と『浦安鉄筋家族』というドラマが、同時期に放送されていた時があって。どちらにも水野さんが出演されているんですが、ドラマを観ていた私は、同じ方が演じているとは気づかなかったんです。同じ方が、こんなに違う役を演じることができるんだと驚きました。それから俳優のお仕事をやってみたいと思い、事務所のオーディションに応募しました」と熱を込める。「明るい役柄やクールな役柄、キラキラとした青春ものや怖い作品など、真逆のものにチャレンジできるような俳優になりたいです」と振り幅のある俳優が目標だ。
トツ子という優しい女の子を通して、声優業や歌、宣伝活動などたくさんの初体験を果たした。鈴川は「トツ子は持ち前の明るさで、きみとルイを導いていきます。誰かを引っ張っていけるような明るさは私にはないものなので、トツ子を見習っていきたいなと思います。トツ子の優しさや明るさがみんなに影響を与えていく姿を見て、私自身、とても背中を押されました」とトツ子からたくさんの力ももらったという。「私は性格的に考えすぎてしまうところがあるんですが、山田監督とのやり取りを通して、怖がらずにお芝居をしていいんだと思えました。自分が想ったことをぶつけてみて、ダメだったらやり直せばいい。自分が楽しんでやることを大事にしながら、ポジティブに考えよう。そんなふうに、殻を破れたような気がしています」と本作で得たものは限りない。
人の“色”が見えるトツ子だが、「赤など情熱的な色を持った人になりたいです」と目を輝かせた鈴川。「トツ子のように周りに、影響を与えられるような人になりたいなと思っています。赤色を胸に、メラメラと心を燃やしながら進んでいきたいです」とすがすがしく宣言していた。
取材・文/成田おり枝
※高石あかりの「高」は、「はしごだか」が正式表記