「木更津キャッツアイ」に思いを馳せて…櫻井翔がサプライズ登場の「THE3名様」最新作をレビュー
あまりにもエモーショナルな盟友・櫻井翔との共演
今回の映画版で目を引いたのは、全編ユルい話のなかに仕掛けられた緻密な構成だ。すべてが、最後のエピソードの“伏線”のようになっている。そして、これまで事件らしい事件が起きなかったファミレスにタイトル通り、ある“事件”が起こる。そんな展開もワクワクするのだが、なによりも“事件”なのが、櫻井翔の登場だ。言うまでもなく「木更津キャッツアイ」でバンビを演じた盟友だ。
4人の久々の共演は、あまりにもエモーショナル。これまでもずっと一緒にいたかのような息のあったやりとりだった。これを見せられたら、最後のピースも…、と夢が広がってしまう。彼らにとってはもちろん、多くのドラマファンにとって「木更津キャッツアイ」は大事な作品だ。その思いがなくなることはない。「THE3名様」の3人にとっても、彼らが入り浸るファミレスは、大事な場所だ。映画ではそれを守るため3人は、3人なりのやり方で“戦う”。見終わると温かい気持ちになると共に、自分にとっての大事なものに思いを馳せ胸が一杯になった。
佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史の3人は、ある“約束”をした。そのことを佐藤は「THE3名様Ω メガ盛り」に収録された対談でこう明かしている。
「この先、歳もとるし、もしかしたらほかのことに興味を持つ人が出てくるかもしれない、誰かが役者をやめる可能性もあるわけじゃないですか。 万が一、そういうことがあったとしても、この 『THE3名様』を撮る時だけは、絶対に戻ってこようって」
20代のころからファミレスで駄弁り続けて、40代になっても変わらず駄弁っている。これからなんらかの障害があったとしても、きっとその場所をいくつになっても守り続けていくのだろうと夢の続きを想像させてくれる映画だった。
文/戸部田 誠(てれびのスキマ)