長澤まさみ×三谷幸喜『スオミの話をしよう』が初登場No. 1!『ラストマイル』に続き、“実写オリジナル邦画”の逆襲なるか

コラム

長澤まさみ×三谷幸喜『スオミの話をしよう』が初登場No. 1!『ラストマイル』に続き、“実写オリジナル邦画”の逆襲なるか

9月13日から9月15日までの全国映画動員ランキングが発表。三谷幸喜が5年ぶりに脚本と監督を務め、長澤まさみを主演に迎えたミステリー・コメディ『スオミの話をしよう』(公開中)が初登場で首位を獲得した。

5年ぶりの“三谷映画”が、オープニング興収5億円超えの好発進!

【写真を見る】長澤まさみ演じるスオミと5人の夫たち…“三谷ワールド”が今回も炸裂
【写真を見る】長澤まさみ演じるスオミと5人の夫たち…“三谷ワールド”が今回も炸裂[c]2024「スオミの話をしよう」製作委員会

全国372館で封切られた『スオミの話をしよう』の初日から3日間の成績は、観客動員が31万3000人、興行収入は4億3900万円。「敬老の日」の祝日を含めた4日間の累計成績では動員43万1000人、興収5億9700万円となっている。好スタートではあるものの、5年前の同時期に公開された三谷監督の前作『記憶にございません!』(19)の初動4日間の成績と比較すると、動員では67%、興収では73%と少々数字を落としている。

著名な詩人の妻であるスオミ(長澤)が突然行方をくらまし、豪邸に集まったのはスオミの現在の夫である寒川(坂東彌十郎)と、4人の元夫たち(西島秀俊、松坂桃李、遠藤憲一、小林隆)。彼らがスオミについて語り合っていくうちに、彼らの思い出のなかにあるスオミがまるで別人であることに気付いてしまうというストーリーだ。

男たちが語り合うスオミは、見た目も性格もまるで別人!?
男たちが語り合うスオミは、見た目も性格もまるで別人!?[c]2024「スオミの話をしよう」製作委員会

今回が9作目となる、“三谷映画”。これまでを振り返ってみれば、前作『記憶にございません!』は興収36億4000万円、その前の『ギャラクシー街道』(15)は興行・批評的にも苦戦を強いられたとはいえ興収13億2000万円を記録し、『清洲会議』(13)は興収29億6000万円、『ステキな金縛り』(11)が興収42億8000万円、『ザ・マジックアワー』(08)が興収39億2000万円、そして『THE 有頂天ホテル』(06)が興収60億8000万円といずれも安定感抜群のヒットを記録している。

とりわけ『記憶に〜』は動員ランキングで3週連続1位に立ち、『ステキな〜』も4週連続1位だったりと、初動に偏らずに息の長い興行を展開するのも三谷映画の特徴のひとつ。そのため先述したような前作から数字を落としている点は、さほど大きな問題ではないだろう。配給の東宝の発表によれば“興収30億円”を狙えるすべりだしとのことで、今後の推移を楽しみに見守っておきたい。

“打率10割”のヒットメイカー三谷幸喜が今回も大ヒットなるか
“打率10割”のヒットメイカー三谷幸喜が今回も大ヒットなるか[c]2024「スオミの話をしよう」製作委員会

ちなみにこの『スオミの話をしよう』も、先週まで3週連続で首位に立っていた『ラストマイル』(公開中)も、原作ものでも続編ものでもないオリジナル作品(『ラストマイル』に関しては、既存のテレビドラマから連なる“シェアード・ユニバース作品”ではあるが、ストーリーやキャラクター自体に連続性はない)。つまり4週続けて動員ランキングのトップに、国内の実写オリジナル作品が立ち続けていることになる。これは『花束みたいな恋をした』(21)の独壇場が続いた2021年の初頭以来だ。


すっかりアニメ作品の勢いに押され気味で、どうしても原作ありきの作品に偏りがちな国内実写映画だが、毎年1〜2本は作家の色がよくあらわれたオリジナル作品からヒットが生まれている。三谷幸喜であったり野木亜紀子であったり、坂元裕二や是枝裕和であったり。原作ものや続編ものが悪いわけではないが、そればっかりになってしまっては面白味に欠ける。こうしたオリジナリティある作品が増え、かつ興行的に成功してこそ日本映画は本当の意味で盛り上がっているといえるだろう。

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